CE .NETを3ドルにしたマイクロソフトの危機感

2003/5/23

 マイクロソフトが情報家電向けの組み込み分野に本腰を入れ始めた。携帯電話やセットトップボックスなど情報家電分野では国産OSのトロンが優勢。また、最近はLinuxも存在感を増している。マイクロソフトは、情報家電を21世紀の戦略製品と位置づけてOSでの覇権獲得を目指す。

マイクロソフトのニューメディア&デジタルデバイス本部 佐野勝大氏

 マイクロソフトは6月1日から提供する組み込み用OS「Windows CE .NET」で、基本的な機能を搭載したライセンスを3ドル(米国での想定小売価格)のロイヤリティでベンダに提供する。CEはこれまでオープン価格だったが、フルコンポーネントをそろえた1つのライセンスしかなく、ベンダは利用しない機能にまで価格を支払う必要があった。マイクロソフトのニューメディア&デジタルデバイス本部 佐野勝大氏は、「CEは高いというイメージがあった。機能を考えるとほかのOSと価格は変わらないはず。だが、情報家電の採用促進のために価格を明らかにした」と戦略を説明した。

 マイクロソフトがCEの価格をオープンにした背景には、組み込み分野でCEが思った以上に伸びていない危機感がある。オープンソースのLinuxなどと異なり、CEはこれまでソースコードを確認できなかったことから、ベンダが採用に消極的になっていた。そのためマイクロソフトは、ベンダに対して、CEのソースコードを95%公開し、改変と改変したCEの製品への搭載を認める「Windows CE Shared Source Premium Licensing Program」を4月に発表し、戦略を転換した。

 佐野氏はこれらの施策で、「ベンダには評判がよく、多くの引き合いがある」と説明。「CEが売れていないという状況は、1年半くらいでなくなると考えている」と自信を見せた。佐野氏は、Linuxについてもコメント。「Linuxはカーネルは無料だが、ミドルウェアやコーデック、ブラウザなどは有料が多い」として、「CEよりも高いという声がある」と指摘した。

 好調な業績にかかわらず、マイクロソフトに対して政治的な逆風が吹いているのは確かだ。これまで政治的な問題は、ほぼ本社だけに限られていたが、電子政府の推進に従い、国内でも注目を集めるようになってきた。マイクロソフトのニューメディア&デジタルデバイス本部 執行役員 本部長 宗像淳氏は、「マイクロソフトは1人がちをして、1人ですべてをやろうとしている企業と思われるが、決してそういうものではない」と説明。「パートナーをベースにしたエコシステムのビジネスモデルを作り上げている」と、業界との協調姿勢をアピールした。

(垣内郁栄)

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