ジャストシステムを成長させるナレッジマネジメントツール

2003/6/13

 ジャストシステムは文書や、過去のビジネス事例など企業内のあらゆる情報を統合的に管理し、スタッフ間で共有できるようにする新しいナレッジ・マネジメント(KM)ツール「GrowVision」を、7月11日に発売すると発表した。文書の共有を実現する同社の「ConceptBase」のエンジンに加えて、ビジネスプロセスを知識化し、共有できるようにしたのが特徴だ。

ジャストシステム 代表取締役社長 浮川和宣氏(左)と同社代表取締役専務 浮川初子氏

 GrowVisionは文書管理ツールやEIP(企業情報ポータル)、グループウェア、ビジネス・インテリジェンス(BI)ツールに蓄積された企業情報をXMLデータに変換し、データベースで管理する。データベースに蓄積された情報は、Webブラウザで閲覧可能。経営者の視点や、商品開発をベースにした視点、顧客の視点などさまざまな視点から柔軟に情報を分析できる。ジャストシステムが長く研究してきた自然言語処理技術とXMLを生かすことで、情報の体系化と多視点化を簡単にしたという。ATOKを、GrowVisionにデータを入力するためのフロントエンドとしても利用することも可能だ。

 GrowVisionは、企業活動の結果だけでなく、営業の提案から契約、フォローまでなど過去の仕事の流れや成功事例を共有することもできる。GrowVisionが過去のビジネスプロセスを体系化し、情報と情報の結びつきを明確にする。スタッフは過去のビジネスプロセスを検索することで、現在のビジネスに役立つケーススタディやベスト・プラクティスを参照可能。プロジェクトに新しいスタッフが加わった場合でも、GrowVisionを利用することですぐに知識の共有化を図ることができる。

 ジャストシステム 代表取締役社長 浮川和宣氏は、「ConceptBaseを導入した企業の中に、文字になっていない情報を活用できないという悩みがある」と指摘。「GrowVisionは仕事のプロセスを知識化し、この悩みを解決する」と述べた。また、浮川氏は「GrowVisionでジャストシステムも成長したい」と強調した。

 GrowVisionは750万円から。「Red Hat Enterprise Linux AS」や「Windows 2000 Server」で稼働。ほかのLinuxディストリビューションやSolarisにも対応させる考えだ。

 GrowVisionは、テスト事例として製造業の5社程度が発売前に導入。研究開発部門や設計部門で利用していて、「コンセプトやシステムの柔軟性に対して、高い評価を得ている」(ジャストシステム)という。GrowVisionの当初のターゲットは1700社に及ぶコンセプトベースの顧客企業。ジャストシステムは年間100件の導入を目指し、今後3年で30億円規模のビジネスに育てることを目標としている。

(垣内郁栄)

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ジャストシステムの発表資料

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