「苦労は尽きない」、MSのサポート部隊が本音トーク

2003/6/20

 「苦労は尽きない」。マイクロソフトで顧客企業やOEM先、パートナー向けのサポートサービスを担当する執行役員 サービス戦略企画室 室長 松浦清氏はこう述べて、苦労が続くサポート業務を説明した。

マイクロソフトの執行役員 サービス戦略企画室 室長 松浦清氏

 マイクロソフトは、「Premier Support」の名称で、システム障害時に即座に対応する運用サポートや、トラブルを事前に予防するためのサポートを提供している。担当のエンジニアが24時間体制で対応。Premier Supportの対象はマイクロソフトの全製品で、必要であれば公表前の修正プログラムなども提供する。契約料は年間600万円程度からで、1000万円程度支払っている企業が多いという。

 松浦氏が強調したのはフレキシブルな対応。顧客企業のトラブルによっては、「エンジニアを何人も投入したり、米本社からエンジニアを呼んで、実際にその場でトラブルを再現させたり、企業からトラブルが起きたサーバを借り受けて、再現したり」と大忙しなのだ。個人情報保護の観点からサーバをマイクロソフトに預けない企業もあり、「エンジニアをどんどん現場に投入することになる場合もある」という。

 もちろん、サポートの現場ではあらゆる手段を使ってトラブルに対応する。マイクロソフトが公開している情報だけでなく、未公開の情報も利用。「われわれは必要であれば、ソースコードまでさかのぼって対応する」といい、実に頼もしい。また、Premier Supportではトラブルが発見された段階で、バグフィックスを作成し、対応する場合もあるという。

 だが、企業からサポート対応を依頼されるケースのうち、ほとんどは既知の情報だけで対応できる内容。「処理件数でいえば、ほとんどは公開されている情報をわれわれが探して、解決する」というケースだ。既知情報を基に対応するトラブルはそれほど労力を必要としないが、時になかなか解決できないトラブルがあり、「そこにわれわれの労力のほとんどを投入している」という。

 主要なITベンダはハードやソフトの箱売りから、サポートやコンサルティングなどサービス事業で収益を上げようと、事業転換を図っている。しかし、サポート部隊は、実績が外部からの評価に結び付きにくく、注目が集まらない面もある。松浦氏は「サポートはきれいごとでは片付かない世界」と述べた。

(垣内郁栄)

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