広がるXML、成功する3つのポイントは

2003/7/24

 XMLが実ビジネスへ広がってきた。業界団体などがさまざまなXMLの業務別ビジネス文書標準を策定。実用化が進み、対応製品の出荷も相次いでいる。ただ、新しい技術だけに先行事例が少なく、導入に失敗するケースもある。今後、XMLが企業情報システムで順調に普及し、標準となるには、どのような課題があるのか。日立製作所のビジネスソリューション事業部 ITコンサルティングセンタ 主任コンサルタント 小池博氏がXML導入で成功するための3つのポイントを説明した。

日立製作所のビジネスソリューション事業部 ITコンサルティングセンタ 主任コンサルタント 小池博氏

小池氏は日立のイベント「日立ITコンベンション2003」で講演した。小池氏はXMLがビジネスシーンで活用されるための第1のポイントとして、「影響力のある推進組織、標準化組織が標準規格を作ること」と説明した。XMLの標準規格は、業界全体や取引先全体が利用することで、業務の効率化などメリットを生かすことができる。1社や1人が単独で標準規格を策定しても、他社に使ってもらえず、意味がないというのだ。小池氏は業界の標準化団体や企業内の業務革新組織が意見をまとめて、標準規格を策定することを提案した。

 第2のポイントは、「XMLを(エンジニアに)意識させないデータ変換のソリューションを、いかに早く提示できるかということ」。高い注目を集めるXMLだが、すべてのITエンジニアがXMLに精通しているわけではない。そのため小池氏は、XMLデータをリレーショナルデータベースや、ERP、EDIなど既存技術で取り扱えるデータに変換するソリューションが不可欠と考えているのだ。このようなソリューションが用意されることで、XMLが違和感なく既存システムに組み込まれて、普及が進むことになる。

 小池氏が説明した第3のポイントは、「XMLデータの設計や使い方が企業や取引先の間で明確になっているか」ということ。つまり、どの業務プロセスでXMLを活用するかを、企業内や取引先との間ではっきりさせる必要があるというのだ。小池氏は「企業内や取引先との間で、データのモデリングと最適なタグの設定が重要になる」と説明。この作業を怠り、処理を間違うと「XMLデータが巨大なデータになり、システムの性能を落とすことになる」という。

 日立はこれらのポイントをクリアする複数のソリューションを用意。Webアプリケーションサーバの「Cosminexus」や業務別のソリューションを豊富にそろえている。小池氏は「日立はトータルなXML関連のソリューションを提供できる。XMLを武器にしてビジネスを推進するのが重要だ」と強調した。

(垣内郁栄)

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日立製作所

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