ケータイの遍在性をPCで実現するフラリオンの技術

2003/8/5

フラリオンテクノロジーズ日本法人の代表に就任した川端啓之氏

 フラリオンテクノロジーズは8月5日、日本市場に活動拠点を設置し、アジア・太平洋地域での営業活動の拡大を行うと発表した。同社は米ベル研究所からスピンアウトしたネットワーク・テクノロジ企業。IPベースの高速ホイッピングOFDM(直交周波数分割多重)テクノロジ「Flash-OFDM」を核に、ブロードバンドのワイヤレスソリューションを提供していく。

 同社アジア・太平洋地域統括プレジデント ホン・ジン・キム氏は「W-CDMAに代表される第3世代移動体通信(3G)技術では、真のモバイルデータサービスには対応できない。3Gはあくまで音声指向の技術であり、現行のブロードバンド環境をモバイルに移行させるには、弊社のIPテクノロジが必要である」と話す。同社のワイヤレス・ブロードバンド技術は現行の3G技術と真っ向からぶつかる規格といっていい。現在同社では、「Flash-OFDM」をIEEEの802.20ワイヤレス・ブロードバンド標準の主要部分に据えるよう働きかけを行っている。

 同社が開発したIP技術「Flash-OFDM」を利用したシステムのアーキテクチャは、Radio Router基地局と専用チップを内蔵したワイヤレス・ユーザー・モデム(あるいはPCカード)で構成され、IPベースの移動管理ソフトウェアが全体をネットワーク化する。通信事業者が自らのサービス品質に応じて周波数帯を選択し、フラリオンの技術を導入することで、顧客にワイヤレスサービスを提供していく仕組みとなる。つまり、顧客は、Wi-Fiで可能となったような近距離環境でのワイヤレスネットワーキングをさらに拡大し、携帯電話の遍在性を持ったブロードバンド・アクセスで利用することが可能になる、と同社は説明する。

 現段階では、同社と商業ベースの契約を締結している企業はない。ただし、韓国の固定通信事業者ハナロ・テレコムとKT(元韓国テレコム)、携帯電話事業者SKテレコム、米国のモバイル事業者ネクステルが試験利用を行っている最中で、国内でも携帯/固定電話事業者あるいは通信事業者らに働きかけを行い、試験利用からの普及を狙うのではないかとみられる。

 日本法人の代表に就任した川端啓之氏は「フラリオンがコンピュータの利用をエリアフリーにする」と意気込む。

(編集局 谷古宇浩司)

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