ベンダの競争力を決める“グリーン調達”とは

2003/8/26

 国内IT機器ベンダで構成するグリーン調達調査共通化協議会は、製品製造に使う部材が有害な化学物質を含まないかどうかをサプライヤに対してチェックする際に利用するガイドラインを策定、7月23日に利用を開始したと発表した。

 コンピュータや家電などはさまざなな部品で構成されているが、近年、特定の有害な化学物質の使用を制限する法規制が国内、海外で策定されている。特に欧州の「RoHS(Restrictions on Hazardous Substances)規制」では鉛や水銀、カドミウムなどを製品製造に利用することを禁止している。

グリーン調達調査共通化協議会議長の古田清人氏

 そのため国内、海外で製品を製造、販売するIT機器ベンダは部材を購入するサプライヤに対して、部材にどのような物質が含まれているかを確認する必要が出てきた。しかし、各ベンダがばらばらの基準で、異なる方法でサプライヤを調査すると、サプライヤ側の負担が大きく、回答までに時間がかかったり、正確な調査が期待できないという問題があった。

 国内46社で構成するグリーン調達調査共通化協議会は7月22日に策定したガイドラインで、調査の対象となる29の化学物質を特定。サプライヤが部材に含まれる化学物質を回答するための回答フォーマットや、回答するためのフリーツールも用意した。グリーン調達調査共通化協議会議長の古田清人氏(キヤノン グローバル環境推進本部 環境統括・技術センター 環境企画部部長)は、ガイドラインを策定することで「サプライヤが回答を事前に用意でき、回答精度の向上、期間短縮ができる」とメリットを説明。「部材に含まれる化学物質の情報をサプライチェーンに吸い上げることができる」と述べた。

 グリーン調達調査共通化協議会はEIA(米国電子工業会)、EICTA(欧州情報通信技術製造者協会)などと話し合いをしていて、今回発表したガイドラインをベースにワールドワイドのガイドラインに反映したいところ。調査対象となる化学物質のリストは3団体で議論し、決定した。国内では、グリーン調達調査共通化協議会の事務局が設置されているJEITA(電子情報技術産業協会)の参加企業に対して、ガイドラインの利用を呼びかけていく。

 ユーザー企業にとってもガイドライン策定は意味を持つ。有害物質を含む製品を利用することで企業イメージが低下する危険がある。製品に含まれる物質が公開されているかは、ベンダの重要な選択基準になるだろう。古田氏は「ガイドラインは1つのインフラ。グリーン調達の情報がサプライチェーンに流れるかどうかが、製品の競争力にも影響するようになる」と述べた。

(垣内郁栄)

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JEITA 環境・安全部

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