オラクル次期データベースは「グリッドの名の下に」

2003/8/30

日本オラクルのマーケティング本部 システム製品マーケティンググループ 担当シニアマネジャー 西脇資哲氏

 日本オラクルのマーケティング本部 システム製品マーケティンググループ 担当シニアマネジャー 西脇資哲氏は、オラクルが9月に発表を予定している次期データベース、アプリケーションサーバ製品について、「グリッドの名の下にオラクルは製品を強化し、あらゆる製品をグリッド対応にする」と述べ、グリッド対応を次期製品の目玉にする考えを示した。オラクルの次期データベース、アプリケーションサーバは「Oracle 10g」の製品名になると予測されている。

 西脇氏はWeb Services Conference 2003(主催:IDGジャパン)で講演した。西脇氏は「Webサービスが普及することで、どのサーバでどのCPUを使ってどのような処理をするかは、エンドユーザーが分からなくてもよくなる」と指摘。このようなWebサービスの延長線上にはグリッドコンピューティングのモデルがあると語った。

 エンドユーザーから見た場合、グリッドコンピューティングは、アプリケーションを処理しているサーバやCPU、ネットワークの経路を意識することがなくなる。しかし、「ソフト開発の視点でグリッドを見ると異なる」と西脇氏は述べたうえで、「ソフト開発側からグリッドを見た場合、重要になるのは、リソースの割り当てと、情報共有、高可用性だ」と語った。

 オラクルはこの3点の課題について開発を進めている。オラクルはグリッドの標準化団体である「Global Grid Forum」や「Globus」に参加。リソースの割り当てや監視など、グリッドを実現するツール開発に協力している。情報共有には、データベース間で情報をやりとりする際に利用する「Oracle Streams」やWebサービスのテクノロジを活用する。高可用性の実現には、「Oracle9i Real Application Clusters」などのクラスタリング技術が寄与する。

 グリッドコンピューティングを構成するサーバとしてオラクルが考えているのは、ブレードサーバ+Linuxの組み合わせだ。ブレードサーバは必要な処理能力に応じて、リソースを加減することが可能で、効率的なシステム構築が可能。LinuxはOS自体が安価で、信頼性も高い。「グリッドを実現するにはLinuxが一番近いポジションにある」(西脇氏)という。ほかにリソースの仮想化技術、自律型コンピューティングなどのテクノロジを組み合わせることでグリッドを使えるサービスにする。

 グリッドコンピューティングは、ハードベンダやソフトベンダ、研究者などがさまざまなイメージで語っている。西脇氏はオラクルが考えるグリッドについて、「どのCPUをどの経路で使っているかは分からないが、余っているCPU、データセンタを使い、水道や電力のようにリソースを提供すること」と説明。「Webサービスの次はグリッドの波がやってくる。オラクルはグリッドを実現する最も近い場所にいる」と来場者に訴えた。

(垣内郁栄)

[関連リンク]
日本オラクル

[関連記事]
日本IBM、Linux+AMD64でグリッド市場の覇権を狙う (@ITNews)
1万台のPCでグリッド実験、600年分の計算が4カ月に (@ITNews)
オラクルの次期DBは"ブラックボックス"になる (@ITNews)
「メインフレーム オルタナティブ=Linux」時代の幕開け、オラクル (@ITNews)
「IBMの7分の1、BEAの5分の1の価格」オラクルのアプリケーション・サーバ (@ITNews)
IBMが「全製品系列でグリッド化を推進」 (@ITNews)

情報をお寄せください:



@ITメールマガジン 新着情報やスタッフのコラムがメールで届きます(無料)