あらゆるビジネスをUMLでモデリングする夢

2003/9/12

UN/CEFACT運営グループ議長 レイ・ウォーカー氏(左)と、技術・方法論グループ議長のクラウス・ディエター・ノウヨック氏(右)。ちなみにノウヨック氏は、ebXMLの議長だった

 国連の下部組織として電子商取引などの促進活動をしているUN/CEFACTが最近熱心に取り組んでいるのは、UMLでのビジネス記述を中心とした国際標準規格「BCF(Business Collaboration Framework)」の策定と普及である。9月11日、同団体の主要メンバーが来日し、報道関係者向けに現状を説明した。

 同団体の技術・方法論グループ議長 クラウス・ディエター・ノウヨック(Klaus-Dieter Naujok)氏はBCFの解説の中で、「われわれのゴールは、あらゆる商取引がモデル化され、そのモデルをもとに(システムの)実装が行われるようになることだ」と述べた。BCFのコンセプトは、商取引にかかわるあらゆる要素、商品、単価や期間、取引条件、法規制などをすべて統一的な方法でモデル化すること。同氏はその標準化を推進している中心人物だ。

 UMLを使えば、現在でもビジネスをモデル化して記述することは不可能ではない。しかし、どのようにモデル化して記述するか、という標準的な方法論はない。そのため、UN/CEFACTでは世界中のさまざまなビジネスすべてを標準的な方法でモデル化するため、OMGのUML 1.4をベースに、それを拡張するメタモデル、リファレンスガイドなどの作成を行っている。そうしたドキュメントの全体像がBCFだ。

 BCFの先には、モデル化された情報を基に、自動的に商取引を行うシステムを構成する、というインプリメンテーションの自動化がある。これが実現すれば「電子商取引の導入コストが下がり、中小企業や発展途上国などでの導入も容易になる。その結果、世界的な貿易の促進になるだろう」(レイ・ウォーカー(Ray Walker)運営グループ議長)。しかも、「実装にはebXMLや.NET、SunONEなど、どんな技術、どんなプラットフォームを用いても構わない」(ノウヨック氏)。

 しかし、あらゆる商取引のモデルを、単一の方法論で本当にモデル化できるか、さらにモデル化されたものを読み解いて利用する実装系やシステムが登場するのだろうか。UN/CEFACTが示したビジョンは先進的すぎる故に、まだ多くの問題解決が必要と予想される。UN/CEFACTが発表したロードマップによると、BCFの主要なドキュメント類がそろうのは2003年第4四半期以降。実装ガイドの登場は2004年下半期以降だという。

(編集局 新野淳一)

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UN/CEFACT

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