調達方法の改革がコスト削減最短の道か

2003/9/18

米フリーマーケッツ プレジデント兼CEOのデビッド・マコーミック氏

 フリーマーケッツは9月17日、購買の価格交渉プロセスをオンライン化し、自動化するアプリケーション「FreeMarkets QS 日本語版」の最新バージョンを発表した。一般的に、調達、購買活動を成功させるためには、サプライヤの特定、サプライヤから必要な情報の入手、入手した情報の管理、分析、入札の実施、発注先の特定など多岐に渡る作業を効率的に行う必要があるという。「FreeMarkets QS 日本語版」は、入札やオンライン交渉を行うためのオンラインでの場の設定や、RFI(情報依頼書)、RFP(仕様提出依頼書)、RFQ(見積依頼書)といったサプライヤに対する依頼書の標準やひな型の作成を可能にすることで、調達、購買活動に関する課題を解決しようとする。さらに、サプライヤと情報交換や情報そのものの管理を行う機能も搭載している。

 同社と富士通総研が共同で行った企業調達の実態調査(売上高500億円以上の製造業、建設業などに勤務する経営企画役職者181人、および調達部門の役職者234人)によると、コスト削減の方策として今後、最も成果が期待できる取り組みとされたのは「調達の抜本改革」(62%:複数回答可)だった。特に、海外からの調達比率を高めることについて高い必要性を認める結果となった。しかし、現実には、海外調達を阻む要因の存在により、思うように調達システムの改革は進んでない状況である。例えば、品質基準を満たすサプライヤの不在、法制度や商習慣の違いによるリスク、情報不足、言語の壁などのマイナス要因が存在する。

 同社は、アプリケーションを提供するだけではなく、企業の調達、購買システムの改革をも同時に支援するサービスも提供する。このサービスは「購買改革プログラム」の名称で、パイロットプロジェクトの開始から、全社展開、自社運営導入プログラム、自社運営サポートまで、4つのステージに分割して、顧客企業の調達構造を抜本的に改革するコンサルティング・サービスといっていい。そのほか、調達先国および優良サプライヤの選定についても、情報提供サービスを展開している。

 調達、購買部門の働きは地味にみえるものの、全社的なコスト削減戦略を推進していくうえで、同部門にメスを入れることは必ずしも地味な手ではないようだ。米フリーマーケッツ プレジデント兼CEOのデビッド・マコーミック(David McCormick)氏は「1億ドルのコスト削減を行い、利益を生み出そうとすると、10億ドル分も売上高を上げなければならない」と話す。

(編集局 谷古宇浩司)

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