セキュリティソフト市場「第三の男」再び登場、日本NA

2003/9/26

赤いパッケージが目をひくマカフィーブランドのセキュリティソフト新製品

 日本ネットワークアソシエイツは9月25日、コンシューマ市場への再参入を発表した。10月1日からコンシューマ向けマカフィーブランドのセキュリティ製品をオンライン、店頭などで販売する。同社がコンシューマ市場に挑戦するのは実に3年ぶり。その間ソースネクストが独自ブランドで販売するなど紆余曲折(うよきょくせつ)を経た。コンシューマ市場における「ネットワークアソシエイツ」および「マカフィー」ブランドの認知度は3年前と比較すると低下していると考えられる。同社としては、競合であるシマンテック、トレンドマイクロの存在感をいかに押しのけるかという厳しい課題がマーケティングの当面の焦点となる。

 同社 代表取締役社長 加藤孝博氏はあくまで強気だ。「(コンシューマビジネスで)年間40億円、80万〜100万ユーザーの登録を目標とする」。オンラインサービスについてはすでにNEC、松下電器産業と契約し、両社が提供するPCにそれぞれプリ・インストール、バンドルという形でユーザーにアクセスする。また、Biglobe、AOLといったISPとの提携、Webショップによるオンラインサービス契約での提供も予定している。「NECのPCユーザーが年間300万人とすると、年間100万人のマカフィーユーザーの獲得というのは、控えめな数字」と加藤氏は言う。

 確かに数字上はそうかもしれないが、PCのプリ・インストールやバンドルは、消費者に商品選択の余地がないというマイナス面をあらかじめ含んだ提供形態である。「ユーザーが本当にバンドル(あるいはプリ・インストールされた)ソフトウェアを使うかどうか疑問」という問題点を孕(はら)んでいるものだ。3年前、ネットワークアソシエイツがコンシューマ市場から撤退する時、PCへのバンドルやプリ・インストールは展開していたのである。だが、結果的には、国内のパッケージソフトウェア市場で圧倒的な販売力を持つソースネクストの販売網とブランド力に頼る形で、同社はコンシューマ市場から手を引いた。

 店頭などでのパッケージの販売は、企業向けの大量一括提案と比較すれば、ビジネスとしての「旨み」の質が違う。企業向けにリソースを集中することは戦略上、重要な決断だが、店頭におけるパッケージビジネスは、企業のブランドイメージを高める「宣伝効果」という側面もある。マーケティング活動の一貫として「たいして儲かりはしないが、続けることに意義がある」と考えることもできる。もちろん、日本ネットワークアソシエイツが最初から負け戦を覚悟でコンシューマ市場に再参入を果たしたとは考えられないが、コンシューマ市場で存在感を増し、企業市場でのビジネス規模の一層の拡大を狙っていることは確実だろう。

 今回の再参入にあたり、パッケージ・デザインは赤に統一、「全自動」をキーワードに、世界共通のマーケティング戦略を推進していく。

(編集局 谷古宇浩司)

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