ARMがNECと狙う、マルチプロセッサによる“惑星支配”

2003/10/21

NECエレクトロニクス 取締役副社長 橋本浩一氏(左)とARM COOのチュドール・ブラウン氏(右)

 NECエレクトロニクスと英ARMは10月20日、複数のプロセッサを1つのプロセッサにように動作させる対称型マルチプロセッサの事業分野で戦略的パートナーシップ契約を締結したと発表した。この契約により、両社は次世代の対称型マルチプロセッサを開発(基本ソフトの開発も含む)しながら、マーケティング活動も共同で行う。ARMはNECエレクトロニクスに「ARM11ファミリ」をライセンス供与し、NECエレクトリニクスはARMにマルチプロセッサ技術を提供することになる。

 両社が共同開発するプロセッサの適用分野は、モバイル、カー・マルチメディア、情報家電など。将来的なリッチアプリケーションのニーズ拡大をにらむ。NECエレクトロニクス 取締役副社長 橋本浩一氏によると、同市場が抱える現段階の問題には「高性能CPUの消費電力増大、ソフト開発費の増大という2つが立ちはだかる」という。
 
 プロセッサの性能は「動作周波数×CPUの並列数」で決定されることから、両社は、個々のCPUの動作周波数を抑えることで消費電力を低減させる並列化を選択、NECエレクトロニクスがこれまでサーバで培ってきた技術を応用しつつ、開発を行っていく。また、ソフトウェア開発の側面では、NECエレクトロニクスが蓄積してきたシングルCPUのソフトウェアを流用し、ソフト開発の効率改善と評価コストを削減する。つまり、ARM側はARM11のコアおよびARMファミリのソフトウェアとその開発環境を提供し、NECエレクトロニクスはマルチプロセッサ技術およびLSI設計技術を提供する体制となる。

 ARMの2002年度の全製品出荷台数(約6億台)に占めるモバイル製品の比率は75%で、残りはネットワーキング、イメージング、ストレージといった分野である。ARM COOのチュドール・ブラウン(Tudor Brown)氏は「今回のパートナーシップ契約による成果でARMの市場はさらに拡大する」とし、得意のモバイル市場以外で強みを発揮するチャンスを狙う。加えてブラウン氏は「この惑星のすべてのデジタルデバイスにARMプロセッサを搭載したい」と壮大な「夢」を示した。

(編集局 谷古宇浩司)

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