月1万円前後の中小企業向けIP電話、村井純教授が絶賛

2003/10/22

 フリービットは中小規模企業に特化したIP電話サービス「FreeBit OfficeOne IPビジネスホン」を12月に開始すると発表した。既存のLAN設備、電話番号をそのまま引き継ぎ、低価格でIP電話サービスを構築できるのが特徴。フリービットの代表取締役社長 最高経営責任者 石田宏樹氏は、「オンラインサインアップで購入できる中小法人向けPBXシステムを目指した」と述べて、大企業向けが多い他社のIP電話サービスとの違いを打ち出した。

「FreeBit OfficeOne IPビジネスホン」のネットワーク構成。クリックで拡大表示します

 FreeBit OfficeOne IPビジネスホンは、フリービットのデータセンター内にIPv6対応のSIPサーバを設置。データセンターと、利用企業内に設置する「IAD」(Integrated Access Device)と呼ぶゲートウェイを、NTTの光ファイバ回線「Bフレッツ」で接続する。IADとIP電話機をLAN接続すれば通話できる仕組みとなっている。SIPサーバが代表電話や呼転送などPBXの機能を代替するIPセントレックスサービスで、ネットワーク全体がIPv6に対応し、「理論上、2の48乗まで電話機を増設できる」(石田氏)という。

 IADはヤマハの市販ゲートウェイ「RTV700」を利用する。IPv6対応のIP電話機は岩崎通信機が開発した。SIPサーバはソフトフロントとフリービットが共同開発した。

 FreeBit OfficeOne IPビジネスホンは既存の電話番号をそのまま使うことができる。IADがIP電話番号である「050」と、既存番号とを変換する。利用企業から発信する場合は、050番号が03など既存番号に変換される。着信する場合は、既存番号が050に変換される。企業は取引先などに050番号を知らせることなく、既存番号で着信できるメリットがある。既存番号が利用できるため、110番などの特殊番号や携帯電話との発着信にも対応する。ただ、既存番号で着信するには、別に用意したINS64回線をIADに接続する必要がある。

 FreeBit OfficeOne IPビジネスホンは従業員30人程度の中小規模企業に特化したサービスで、フリービットは低価格と構築のしやすさ、管理の容易性をアピールしている。詳細は12月までに発表される予定だが、月額の利用料は5000円〜1万円。別にBフレッツの利用料が必要となるが、小規模の企業なら月1万円前後でIP電話が利用できる見通しだ。ただし、フリービットが設立したインターネット・サービス・プロバイダを利用する必要がある。通話料は全国一律で3分/8円。IADのRTV7000は17万8000円、IP電話機は一般のオフィス電話機と同程度の1台3万円前後になる。それぞれリース契約が可能になる予定。内線5回線から利用できる。

 企業内での構築はIADにIP電話機をイーサネットケーブルで接続するだけ。スイッチング・ハブをゲートウェイに取り付ければ、接続できる電話機台数を増やせる。1台のIADに対して24台までIP電話機を接続できるという。内線番号の設定はPCを使ってWebベースのツールで行う。携帯電話のWebブラウザからも設定可能。専任の管理者でなくても設定できるという。

FreeBit OfficeOne IPビジネスホンの構築をデモするフリービットの代表取締役社長 最高経営責任者 石田宏樹氏

 FreeBit OfficeOne IPビジネスホンは代理店経由で販売する。フリービットは販売代理店を選定中。フリービットと販売代理店が、FreeBit OfficeOne IPビジネスホンを専門で販売する代理店を合弁で設立することも計画している。フリービットは来年度にFreeBit OfficeOne IPビジネスホンで20億円の売り上げを目指す。

 フリービットは、IPv6のパケットをトンネリングすることで、既存のIPv4のネットワークでIPv6のサービスが利用できる「Feel6 Technology」を今年3月に発表。FreeBit OfficeOne IPビジネスホンもこの技術を活用している。石田氏は、FreeBit OfficeOne IPビジネスホンの開始で「IPv6のリアルビジネス化が成功した」と述べた。当初は石田氏の“師匠”ともいえる慶応大学の村井純教授が会見に出席しコメントを述べることになっていたが、風邪で欠席。「国際的に最も渇望されていたサービスだ」とのコメントが代読された。

(編集局 垣内郁栄)

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フリービットの発表資料

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