「63年かかる分子動力学計算を2週間で」富士通の超並列サーバ

2003/11/6

富士通 先端科学ソリューション本部 プロジェクト統括部長 小倉誠氏

 富士通と富士通研究所は11月5日、「ゲノム創薬研究ソリューション」の中核システムとなる超並列シミュレーションサーバ「BioServer(コード名)」を開発し、ゲノム創薬資源開発企業ゾイジーンとの実証実験を開始したと発表した。
 
 BioServerはゲノム創薬研究向けの専用アプリケーションサーバで、1筐体に最大1920個のCPUを搭載可能、個々のCPU上でタンパク質の構造予測や結合予測を行うシミュレーションプログラムを並列に動作させることができる。CPUそれぞれが異なった条件でまったく独立に、なおかつ並行して計算を行うことで、高精度シミュレーションの高速実行が可能となる。

 BioServerのCPUには、同社の組み込みプロセッサ「FR-V」シリーズを採用している。FR-Vシリーズは、スーパーコンピュータ技術を用いて開発したVLIW(Very Long Instruction Word)型のプロセッサで、汎用PCプロセッサの約50分の1の消費電力で動作する。
 
 BioServer 1号機(1920個のCPUを搭載)は富士通のIDCに設置し、ゾイジーンとの実証実験を行う。2号機(1280個のCPUを搭載)は富士通社内でNEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)のバイオ・IT融合機器開発プロジェクトの一環である人工抗体の研究開発に利用される予定。
 
 バイオテクノロジ分野では2003年4月にヒトゲノムの解読が完了し、現在は、ゲノム情報を生かした創薬研究の段階に入っている。また、個人差を考慮した投薬、予防、根本治療を可能とするテーラーメイド医療の実現に向けた研究、開発も盛んである。解読されたゲノム情報をもとに、各遺伝子から作られるタンパク質の種類、形状、結合状態を知ることは創薬研究にとっては非常に重要なことだが、問題は、タンパク質が数万から数百万個の原子で構成される大きな分子であるため、構造や結合のすべての状況を計算するのに膨大な時間がかかることである。今回の実証実験では、通常、63.4年かかるタンパク質の分子動力学計算シミュレーションを2週間で実行するという。なお、実用化については「実証実験の結果次第」(富士通 先端科学ソリューション本部 プロジェクト統括部長 小倉誠氏)であるという。

(編集局 谷古宇浩司)

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