7万9800円の低価格カラーレーザープリンタは買いか?

2004/1/14

日本ヒューレット・パッカード 執行役員 イメージング・プリンティング事業統括 滝澤敦氏

 「全世界でのカラーレーザープリンタのマーケットシェアは30.2%で、モノクロレーザープリンタのマーケットシェアは50.7%」と述べ、IDCの調査結果を引用したのは日本ヒューレット・パッカード 執行役員 イメージング・プリンティング事業統括 滝澤敦氏だ。

 その巨人ともいえる存在感が日本で希薄なことが、同社の抱える最大の問題点だろう。競合ひしめく日本市場において、日本HPが2004年の最初に繰り出した戦略商品が、低価格の直販カラーレーザープリンタの「HP Color LaserJet 3500」と「HP Color LaserJet 3700」の両シリーズ。

 A4専用プリンタながら、インライン方式により3500ではカラーで12ppm(Page Per Minute)、3700では16ppmという圧倒的速さを誇る。しかも価格は3500で7万9800円から。競合他社の製品に十分対抗できる製品だが、直販(HPのDirectplus)のみの販売となる。ただし、同社のDirectplusは「お客さまにダイレクトに、そして販売店さまにも提供する」(滝澤氏)ため、販売代理店経由でも購入できる。

 両シリーズのターゲットは、中小・中堅規模の企業である。滝澤氏によれば、「アンケートの結果では、(そうした企業の)10%程度がインターネット/電話による購入」だが、「将来は直販に興味がある企業が50%を超える」ため、そこに注力したいとし、またそれが同社が日本でのシェアを増大させる1つの施策と期待する。

HP Color LaserJet 3500。2400dpi相当でA4コピーモード時で12ppm。メモリは64MB搭載。Hi-speed USB2.0を搭載。ネットワーク対応の3500nは、HP jetdirect 3700 Fast Ethernet外付けプリントサーバを搭載(3500nの価格は9万9800円)

 同社のDirectplus(直販モデル)はサーバ製品などで成功を収めつつある。同社の業績の中でも伸びが高く、今後もワールドワイドでの部材の調達コストなどを引き下げつつ、さらなる低価格路線によってシェアを奪おうという姿勢をみせる。その成功をカラーレーザープリンタでも、といったシナリオがうまくいくのだろうか。

 中小・中堅企業の場合に重要になるのが、カートリッジなどの消耗品が安く、すぐに入手できるかといったことだろう。同社のインクジェットなどでは、プリンタの価格は安いが消耗品が高い、そんなイメージがある。が、今回のカラーレーザープリンタの「カートリッジは他社の価格とそん色はない」(日本HP広報)と断言する。そうしたことと、アフターサービス、サポート体制が整って、中小・中堅企業が振り向いてくれるか、それが決まるのかもしれない。

 なお、日本HPはDLP方式の軽量のビジネス用携帯可能なプロジェクタ「HP Digital Projector mp3130」も同時に発表した。2000:1の高コントラスト、縦型で重量も1.7Kgの軽さ。価格もDirectplusの実勢価格で26万8000円という低価格。今年3月にはオプションのスマートアタッチメントモジュール(SAM)を接続することで、メモリカードにプレゼンテーションファイルをコピーしておけば、PCがなくても投影できる。また、無線LANにも対応できる。

(編集局 大内隆良)

[関連リンク]
日本ヒューレット・パッカードの発表資料(プリンタ)
日本ヒューレット・パッカードの発表資料(プロジェクタ)

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