無線LANのアクセスポイントを仮想統合、米エアフロー

2004/1/14

東京エレクトロン コンピュータ・ネットワークBU ジェネラルマネージャー 天野勝之氏

 東京エレクトロンは米AirFlow Networks(エアフロー・ネットワークス)が開発した無線LANのネットワーク機器の販売を始めたと発表した。複数のアクセスポイントを仮想的に単一のアクセスポイントに見立てて集中管理する機能があり、アクセスポイント間の電波干渉やローミングの問題を解消できるという。東京エレクトロンは、無線LAN上でVoIPを実現するIP携帯電話に対しても有効な製品だと強調。東京エレクトロンのコンピュータ・ネットワークBU ジェネラルマネージャー 天野勝之氏は「エアフロー社製品は他社製品との差別化が可能。無線LAN業界でトップシェアを取れるようがんばりたい」と述べた。

 エアフローの無線LAN製品は、無線LANのアクセスポイントの代わりに、「AirHub」と呼ぶパケットアンテナを設置するのが特徴。クライアントPCは複数のAirHubと同時に通信し、最も電波状態がよく、安定しているAirHubと実際のデータのやりとりを行う。クライアントPCから見た場合、どのAirHubと接続していても、同じチャネルで同一のアクセスポイントに接続しているように見える。たとえクライアントPCが移動したり、1つのAirHubが不調になり別のAirHubに自動で切り替わっても、通信は切断されない。

 また、AirHubは通常のアクセスポイントと異なり、隣り合わせに置いても電波が干渉を起こさない。オフィスのレイアウトを考慮してAirHubを設置する必要がなく、無線LANに関する運用管理負担を軽減できるという。

米エアフローの無線LAN製品。手前が「AirHub」。奥の上が「AirSwitch」、下が「AirServer」

 AirHubはIEEE802.11b、PoEに対応。4月、5月の出荷からIEEE802.11aに対応し、夏までにはIEEE802.11gに対応した製品が出荷されるという。

 AirHubを管理し、どのAirHubがどのクライアントPCと接続するかをコントロールするのが、10/100メガビット・イーサネットを12ポート搭載する「AirSwitch」。既存LANは、AirSwitchのギガビットイーサ対応のアップリンクポートと接続する。価格はAirHubが1台9万5000円、AirSwitchが196万円、AirSwitchから10/100メガビット・イーサネットポートを除いた「AirServer」が168万円となっている。

 東京エレクトロンは、既存LANへの無線LAN導入のほかに、電波干渉、ローミングに強いことからIP携帯電話の市場もターゲットにしている。IP携帯電話の市場はこれから立ち上がる段階だが、東京エレクトロンの第一営業統括グループ 統括リーダー 林英樹氏は「IP携帯電話市場を非常に強くサポートしていける」として、「東京エレクトロンのワイヤレス、セキュリティソリューションの中心にエアフロー製品をおきたい」と述べた。東京エレクトロンは今後3年間で20億円以上の売り上げを見込んでいるが、IP携帯電話の市場が広がることで、「売り上げはもっと大きくなる」と期待している。

(編集局 垣内郁栄)

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東京エレクトロンの発表資料
エアフロー・ネットワークス

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