Delphi 8の登場が.NET普及の鍵になる、ボーランド

2004/1/29

ボーランド 営業本部 マーケティング部 部長 藤井等氏

 ボーランドは1月28日、Delphi言語によるMicrosoft .NET Framework向けビジュアル開発ツール「Borland Delphi 8 for the Microsoft .NET Framework(以下Delphi 8)」日本語版を2月19日に発売すると発表した。同社によると、Delphi 8の最大の特徴は「Win32ベースの既存のDelphi開発資産をスムーズに.NET開発環境に移行させることができる」(同社営業本部 マーケティング部 部長 藤井等氏)点にあるという。

 「これまでDelphiを使用してきた開発者は、.NET Frameworkに移行するタイミングを探し続けていた」と藤井氏はいう。今後、マイクロソフトの次世代OS「Longhorn(コード名)」が登場し、同OSに実装予定の新API層「WinFX」が普及することを想定すると、Win32ベースのアプリケーション開発を行っていたエンジニアにとって、いまが.NET Frameworkに移行する最適のタイミングなのかもしれない。このような契機に、「既存環境をそのまま移行可能なBorland Delphi 8を投入すれば、.NET普及に拍車をかけることになる」と藤井氏は話す。Delphi 8は、データベースアクセスを含むコンポーネントによるビジュアル開発をサポートするVCL(Visual Component Library)を.NET Frameworkに対応させたVCL for .NETを実装しており、Delphiで使用して開発したアプリケーションを変更することなく、.NET Frameworkに対応させることができるのである。

 そのほかのDelphi 8の特徴としては、モデルドリブンフレームワーク「Borland ECO(Enterprise Core Objects) for .NET」を搭載したことで、UMLモデリング環境の開発から運用までの統合が可能となった点が挙げられる。これは、UMLモデリングツール「Borland Together」のモデリング技術を応用したものである。

 なお、.NET Frameworkがサポートする言語は、今回のDelphiを加えると、C#、COBOL、J#、JScript、Visual Basic、Eiffel、Fortran、Perl、Python、RPG、Smalltalkと計11言語。米マイクロソフトが行った言語使用率調査によると2002年Q3には、.NETがJavaを抜いた(.NET37%、Java34%)ということで、マイクロソフトとしては2004年こそ.NET環境のさらなる普及に弾みをつけたい意向である。

(編集局 谷古宇浩司)

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