夢を捨てないオラクル、顧客データ統合ソフトを発表

2004/1/31

 「最大の問題はデータの分断化だ」。米オラクルのCEO ラリー・エリソン(Larry Ellison)氏は企業システムが抱える問題点をこう指摘したうえで、さまざまなベンダの業務アプリケーションが扱う顧客データを統合管理できる新ソフト「Oracle Customer Data Hub」を正式発表した。オラクルの「Oracle E-Business Suite」は単一での利用が前提で、他社の業務アプリケーションとの連携に対してオラクルは消極的であるとされていた。Oracle Customer Data Hubは他社との関係を重視するオラクルの姿勢変化の表れといえる。

「Oracle AppsWorld 2004 San Diego」で基調講演を行った米オラクル CEO ラリー・エリソン氏

 エリソン氏はカリフォルニア州サンディエゴで1月27〜29日に開催された「Oracle AppsWorld 2004 San Diego」で、「オラクルは顧客情報を1カ所で管理するための、完全なアプリケーションと単一のデータベースを提供し、大きな成功を収めてきた。しかし、われわれはすべての顧客が、パッケージアプリケーションやカスタマイズしたアプリケーションをオラクルに変更するわけではない、ということを理解した」と述べた。ほとんどの大企業ではオラクル以外に、SAPやピープルソフトなどさまざまなベンダの業務アプリケーションを使っている。しかし、Oracle E-Business Suiteはほかの業務アプリケーションとのデータ互換性が乏しく、ユーザーは業務アプリケーションを連携させるプログラムを手作りする必要があった。

 この問題の解決策としてオラクルが提示したのが「グローバルな顧客データベース」を作成できるというOracle Customer Data Hubだ。Oracle Customer Data Hubは、Webサービスのテクノロジを活用し、業務アプリケーションやデータベースなどさまざまなソースに分散している顧客データを単一の顧客レポジトリに統合。これによってOracle E-Business Suiteをはじめ複数の業務アプリケーションから、それぞれの業務アプリケーションが持つ顧客データを参照できるようにする。Oracle Customer Data Hubは、Oracle E-Business Suiteのユーザーはもちろん、Oracle E-Business Suiteを使っていないユーザーでも他の業務アプリケーションの顧客データを統合可能。顧客データを統合するソフトとしてはデータウェアハウスが使われているが、Oracle Customer Data Hubでは、データウェアハウスと比較して、よりリアルタイムな情報へのアクセスが可能だという。

 Oracle Customer Data Hubは「Oracle Data Model」「Oracle Customers Online」「Oracle Data Librarian」の3つの要素で構成される。核となるOracle Data Modelは、Oracle E-Business Suiteの基盤であり、Oracle E-Business Suite以外の業務アプリケーションのデータをサポートできるようにする機能を持つ。Oracle Customers Onlineは統合した顧客データにアクセスし、ユーザーに分かりやすい形で情報を表示する役割。単一のコンソールで、複数の業務アプリケーションのデータにアクセスし、閲覧、更新できる。Oracle Data Librarianは、統合された顧客データベースの作成や管理を補助するデータ品質管理ツールを提供する。

 エリソン氏は基調講演で「われわれは、すべての顧客がわれわれの方法を選択するわけではないということを理解した。われわれの本来の夢は変わっていない。それは顧客に対する360度の視点を提供するという夢である」と述べた。シェア争いで優位に立つSAP、買収提案をしているピープルソフト問題などオラクルの業務アプリケーション戦略には、困難が待ち受けている。Oracle Customer Data Hubに加えて、インテグレーション機能が強化されて今年半ばにも登場する「Oracle E-Business Suite 11i.10」でどう巻き返すのか。2004年はオラクルにとって、その後の数年間を占う重要な年になるだろう。

(編集局 垣内郁栄)

[関連リンク]
日本オラクルの発表資料(Oracle Customer Data Hub)
日本オラクルの発表資料(Oracle E-Business Suite次期バージョン)
ラリー・エリソン氏の基調講演骨子

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