トレンドマイクロが新ウイルス対策、統合管理でコスト削減狙う

2004/2/18

 トレンドマイクロは急激に感染を広げる新種のコンピュータ・ウイルスに対応する新しいソリューション「Trend Micro Enterprise Protection Strategy 3」(EPS 3)を2月16日に発表した。EPS 3は「脆弱性診断サービス」「大規模感染予防サービス」「感染復旧サービス」の3サービスで構成。また、これらのサービスを提供するアプライアンス製品「Trend Micro Network VirusWall 1200」と、統合管理ツール「Trend Micro Control Manager 3.0」も発表した。トレンドマイクロ グローバルプロダクトマネージャ ジョン・ハマノ(John Hermano)氏は「新ソリューションは、セキュリティパッチを適用する前に急拡大するネットワークウイルスを防御する」と語り、EPS 3の狙いを説明した。

トレンドマイクロ グローバルプロダクトマネージャ ジョン・ハマノ氏

 EPS 3はトレンドマイクロが従来から展開してきたソリューションを拡張した。拡張のポイントは、従来のソリューションではカバーが手薄だった「脆弱性診断」「感染予防」「復旧」のエリア。脆弱性診断はNetwork VirusWall 1200とControl Manager 3.0を組み合わせ、ネットワークにつながったクライアントPCやサーバのセキュリティリスクをチェックする。対応するのはマイクロソフトのOSやサーバ製品、Internet Explorerなどで、セキュリティパッチが正しく適用されているかが分かる。セキュリティパッチが適用されていないコンピュータは通信を遮断し、ネットワークから隔離可能。ウイルスに感染した私用PCをネットワークに接続し、感染をほかのコンピュータに広げるような内部感染の被害を防止できるという。

 大規模感染予防サービスは、感染拡大が予想されるウイルスが登場したときに、正式なパターンファイルの配布前に「予防ポリシー」と呼ばれるファイルを配布して、コンピュータを防御するサービス。具体的にはコンピュータにインストールしてあるトレンドマイクロ製品の設定を変更し、セキュリティを通常より高める。予防ポリシーはControl Manager 3.0から一括して自動で配布するので、セキュリティ管理者は従来のように1台1台のコンピュータの設定を変更する必要がない。ハマノ氏は「ウイルスに対する知識を必要としない」として「安全で低コストな管理が可能」と、EPS 3がシステムの運用管理コスト低減に役立つソリューションであることを強調した。

 感染復旧サービスは、ウイルスや不正プログラムによって改変されたコンピュータのシステム情報を自動で修復するサービス。これまではセキュリティ担当者が手作業で修復する必要があり、時間、コストがかかっていた。システムの復旧はControl Manager 3.0が実施する。スケジュールを決めて企業内の全クライアントPCをチェックすることが可能。Windows 2000、XP、2003などのOSを使っていれば、トレンドマイクロのウイルスバスターコーポレートエディションがインストールされていないマシンに対しても復旧が可能。

 トレンドマイクロのセキュリティ製品を統合管理し、EPS 3の中核となるControl Manager 3.0は、部署のコンピュータを取りまとめる「スタンダード」と複数のスタンダードを統合管理する「エンタープライズ」の2つのエディションを用意。システム管理の階層によってスタンダードとエンタープライズを使い分けることをできるようにした。

 Control Manager 3.0の価格はエンタープライズが5アカウントで6950円から。スタンダードは無償で、Control Manager 3.0に対応する製品に同梱。また、Network VirusWall 1200は最小構成の250ユーザーの場合で202万4000円。脆弱性診断サービスは5アカウントで5万550円から、感染復旧サービスは5アカウントで5850円からとなっている。大規模感染予防サービスはControl Manager 3.0 エンタープライズに含まれている。

 トレンドマイクロではEPS 3をセキュリティ管理の統合プラットフォームとして位置付けているようだ。だが、トレンドマイクロの現在のフォーカスの中心はウイルス対策で、不正アクセスや情報漏えい対策、スパム対策などへの取り組みは今回のソリューションの枠外のようにも思える。しかし、ハマノ氏はこの見方を否定。「いまの企業のプライオリティはどうやって大規模感染を防ぐかということ」と指摘し、「Control Manager 3.0では情報漏えい対策製品などトレンドマイクロの既存製品の統合管理がすでに可能。さらに個々の対策から統合的にシステム全体を管理できるようにしていく」と述べ、EPS 3のプラットフォームを生かして、さまざまなセキュリティ上の脅威への対策や、他社製品を含めた統合管理を検討する考えを示した。

(編集局 垣内郁栄)

[関連リンク]
トレンドマイクロの発表資料(EPS 3)
トレンドマイクロの発表資料(Control Manager 3.0)
トレンドマイクロの発表資料(Network VirusWall 1200)

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