NetWeaverで転換点、SAPとパートナー企業の関係は

2004/4/13

 SAPジャパンは統合アプリケーション・プラットフォームの最新版「SAP NetWeaver 2004」を出荷開始すると4月12日に発表した。これまで個別にリリースしてきたコンポーネントを統合し、管理性、相互接続性を高めた。SAPジャパン 代表取締役社長 藤井清孝氏は「会社の全体をとらえるのが難しくなってきた。全体最適を必ずしも閉じた世界で定義できない」とビジネスの現状を指摘。「NetWeaver 2004は既存投資をまずありとしてミドルウェアを統合。柔軟性、スピード、持続可能性を同時に実現する」と述べた。

SAPジャパン 代表取締役社長 藤井清孝氏

 NetWeaverが登場したのは2003年1月。2004年1月までに世界で「SAPエンタープライズ・ポータル」(SAP EP)のコンポーネントが1500、「SAP Webアプリケーション・サーバ」(SAP WebAS)コンポーネントで1500のインストール実績がある。国内ではSAP EPが60、「SAPビジネス・インテリジェンス」(SAP BI)が120、SAP WebASが70などのインストール実績。

 NetWeaver 2004は従来個別に出荷してきた各コンポーネントを統合し、単一の製品として出荷する。統合するのはSAP EP、SAP BI、SAP WebAS、「SAP複合アプリケーション・フレームワーク」など。全コンポーネントのバージョンアップを同時に行い、同時に出荷する。全コンポーネントの一括インストールも可能にした。

 SAPが提供するmySAP Business Suiteソリューション、SAP xApps、パートナーの製品などはNetWeaver 2004上で稼働する。NetWeaver 2004の基盤には、J2EEとABAPの双方の開発・運用に対応したSAP WebASがあり、ヘテロジニアス環境の相互接続性を高めている。新たに無線ICタグに対応するミドルウェアも搭載した。

 SAPはNetWeaver 2004の出荷に合わせてNetWeaver関連の製品情報やビジネスプランを共有する「SAP NetWeaverパートナー・コンソーシアム」を、70社のパートナー企業と組織すると発表した。パートナー企業は大手システム・インテグレータが中心で市場ニーズについての意見交換と製品へのフィードバック、導入事例や構築テクニックの共有を行い、共同のセミナーなども開催する。

 SAPジャパンのバイスプレジデント ソリューション・マーケティング統括本部長 玉木一郎氏は、「ERPパッケージは、注文住宅で一軒の家を建ててきたこれまでのシステム構築をプレハブ工法にした。NetWeaver後の世界はさらにオープンになり、都市設計をモジュール化して、その中で個別の家の設計を考えることができる」と述べ、NetWeaverによる全体最適のメリットを強調した。玉木氏は「パートナー企業のコンサルティング、サービス、製品群をモジュール化して提供する必要がある」とも述べて協業体制の重要性を指摘し、「NetWeaverによってSAPとパートナー企業とのエコシステムも大きな転換点を迎えている」と話した。

(編集局 垣内郁栄)

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SAPジャパンの発表資料

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