アドビがPDF標準化を急ぐわけ

2004/5/15

 アドビシステムズは国際的な標準化団体の「AIIMインターナショナル」などが進めているエンジニアリング文書用のPDFフォーマット「PDF/E」について、「ISOによる標準化の認定は2006年末が目標」と5月14日に明らかにした。米アドビのワールドワイドAdobe PDF規格担当ディレクター メロニー・C・ワーフェル(Melonie C,Warfel)氏は「PDFはアドビがもともと開発したが、仕様は自由に公開されている」と述べ、PDFフォーマットの標準化作業を進めることでPDFをさまざまな分野でデファクト・スタンダードにすることを推し進める考えを強調した。

米アドビシステムズのワールドワイドAdobe PDF規格担当ディレクター メロニー・C・ワーフェル氏

 ワーフェル氏によると、PDF/Eとは「エンジニアリング文書を高い信頼性を持たせ交換したいというニーズに対応」する文書フォーマット。プロジェクトチーム内や製品開発チーム内で文書のフォーマットを統一し、文書の信頼性の保持や配布コストの削減を目指す。さまざまなプラットフォームやアプリケーションがPDF/Eに対応すれば、異なる組織間で文書を交換しても、その信頼性を保つことができる。

 PDF/Eに求められる要件は3つ。どのアプリケーションで開いても文書の閲覧や印刷時のレイアウトや動作が変わらないこと。注釈、コメントデータをやりとりできること。3Dやオブジェクトレベルメタデータなど複雑なデータをPDFに取り込めることだ。PDF1.5の仕様に準拠して仕様が決定されるとみられる。

 PDF/Eの標準化作業は2004年3月に始まったばかり。PDF仕様のレビューを行う小委員会を設置し、標準仕様書の草案作りを近く開始する計画で、ISOによる標準化の認定を受ける目標は2006年末。

 PDFにはすでに標準化作業が進み、2005年3月にもISOによる公式認定を得られる予定の規格もある。電子文書を長期保存するためのフォーマット「PDF/A」だ。米国では会計処理の厳格化の流れから電子文書の長期間保管を義務付ける流れが出ている。PDF/Aは長期保存に必要なPDFの基本機能だけを残し、セキュリティや文書内のリンクの機能は取り除いた。文書を長期保存し、何十年たって後でもPDF文書を問題なく開けるように機能を単純化しているのだ。一方で文書の作者名や保管期間を設定するメタデータは扱えるようにしてある。

 アドビはさまざまな分野で扱われる文書の標準フォーマットにPDFが選ばれることで、自社のPDF関連製品の販売を伸ばす狙いがある。もっともPDF関連のツールはアドビ以外のベンダも提供しているが、ワーフェル氏は「最も信頼性が高いPDF作成方法はアドビが提供する」と述べ、自社製品をアピールした。

(編集局 垣内郁栄)

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