IBM、HPも追い付けないプロセッサ仮想化技術、イージェネラ

2004/6/18

米イージェネラの創立者で現CTO、バーン・ブローネル氏

 インテル製CPUを使った統合型ブレードサーバを開発するイージェネラは6月17日、同社の製品、販売戦略などを発表した。記者発表の席で、米イージェネラの創立者でCTOを務めるバーン・ブローネル(Vern Brownell)氏は、「ユーティリティコンピューティングという言葉を耳にするようになったが、これを製品レベルで実現しているのはわが社のみ。IBM、HP、サン・マイクロシステムズなども同様のコンセプトを打ち出してはいるが、似て非なるもだ」と切って捨てた。

 ブローネル氏は米ゴールドマンサックスのCTO時代、ハイエンドサーバを利用する顧客の立場から、いくつかの重大な不満を抱いていたという。複数のタワー型UNIXサーバをネットワークでつないだデータセンターは「ハードウェアに対し非常に大きな投資を必要とする。ところが、実際のCPUやメモリといったリソースの稼働率は低い。そしてIBMやHPといった大手ベンダは、この点を改善する熱意がないと思えた」という。そこで自ら会社を立ち上げたという。

 同社のIAブレードサーバ「BladeFrame」の特徴は、SAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)のコンセプトをプロセッシングにも応用した「PAN(プロセシング・エリア・ネットワーク)」だ。CPUとメモリを積んだブレードを複数個つなげて構成されるブレードサーバにおいて、プロセシング・リソース(CPUとメモリ)を共有プールのように一元管理し、最適に負荷分散させる仮想化技術が同社のPANである。このデータ処理を行うPAN、およびSAN(ストレージ)、LAN/WAN(ネットワーク)の3つの部分に割り当てるリソースを動的に変更できるという。

 「この3つのエリアを高速で結ぶ“インターコネクト”、仮想化をソフトウェアで実現している点、そしてインテルのハイエンドプロセッサXeonを採用していること、この3点がBladeFrameの核となる」とブローネル氏は語り、従来のWebサーバ、業務サーバ、DBサーバから構成される3層構造のシステムを、1台のブレードサーバに統合することで「データセンターで最もコストの高いハイアベイラビリティの実現において、大幅なコスト削減を達成できる。」と自信を見せた。

 2000年に創立した同社が日本法人を立ち上げたのが2003年2月で、すでにUFJ銀行をはじめ19社への導入実績があるという。同社 アジアパシフィック担当 副社長で日本法人社長を兼務する飯田晴祥氏は、「米国での金融分野への導入実績をテコに、日本市場でも金融分野への浸透を目指している」と表明した。

 BladeFrameの製品ラインは2モデルで、最大ブレード数6機のエントリモデル「BladeFrame ES」、最大96CPUと288GBytesメモリを搭載可能なハイエンドモデル「BladeFrame」となり、どちらもXeonプロセッサを搭載する。対応プラットフォームはRed Hat Enterprise Linux ASおよびWindows 2003 Enterprise Editionとなっている。

(編集局 上島康夫)

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