IP電話の転送が成功するのは3回に1回?

2004/6/29

 ネットワーク機器ベンダやサービスプロバイダの142社が加盟するVoIP推進協議会は、各ベンダのVoIP機器の相互接続性試験の結果を6月28日に発表した。相互通話など電話の基本機能はベンダ間をまたがっても100%近い成功率を達成。一方、保留・転送など複雑な動作の成功率は低迷し、今後の接続性向上に課題を残した。

 試験にはVoIP推進協議会の会員18社が参加した。参加したのはアズジェント、イリイ、岩崎通信機、エンピレックス、沖電気工業、シスコシステムズ、ソフトフロント、日本電気、日本電気エンジニアリング、日本電気システム建設、日本ヒューレット・パッカード、日立コミュニケーションテクノロジー、日立電線、富士通、富士通アイ・ネットワークシステムズ、ヤマハ、ユニデン、リコー。それぞれゲートウェイサーバやプロクシ・サーバ、IP電話機などを持ち寄り、総当りでそれぞれの接続性をチェックした。

 100%近い高い接続成功率を示したのは、IP電話の相互通話や発信者番号通知、ファクシミリの送受信など。13社の18機種をテストした基本接続では、未確立セッションを取り消すオプションの「CANCEL」などが98%の割り合いで成功した。10社の15機種が参加した発信者番号通知では、電話番号がディスプレーに表示される通知で96%が成功、相手に電話番号を通知しない非通知設定の成功率は94%だった。

 一方で成功率が低かった試験項目もあった。着信した電話を保留して、別の電話に転送できるかの試験の成功率は33%。9社11機種を用いて15回試験を行ったが5回しか成功しなかった。保留解除後に正常に通話できるかを調べる試験の成功率は93%だっただけに目立つ結果だ。VoIP推進協議会は「保留・転送は初めての試験だったので予想はしていた。各ベンダによってプロトコルの解釈の違いや、策定途中の仕様を採用するケースがあり、成功率は低くなった」と説明している。

 また、2つの異なるベンダのSIPサーバ間で、それぞのVoIP端末が正常に通話できるかの試験も成功率は30%にとどまった。参加したのは9社の13機種。10回の試験のうちで成功は3回だった。成功率が低迷した理由は保守・転送の試験と同じで、ベンダによるプロトコル解釈の違いだという。

 VoIP推進協議会では試験結果について「昨年度相互接続試験を実施した項目については各社での実装の成熟化が進み高い成功率を得ることができた。だが、今回初めて実施した保留・転送やサーバ間接続については、完全に相互接続がNGとなる組み合わせは少なかったが、全てがOKだった試験の割合は低かった」とまとめている。今回の試験結果は、各ベンダの今後の製品開発や製品バージョンアップの際に生かされるという。

 VoIP推進協議会は6月30日からの「NetWorld + Interop 2004 Tokyo」でブースを設けて、VoIP機器の相互接続のデモンストレーションを行う。

(編集局 垣内郁栄)

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