オブジェクト指向、ホントにあった怖い話

2004/7/10

 オブジェクト倶楽部の納涼イベント「オブジェクト指向実践者の集い 第2弾」が7月9日、都内で行われた。同倶楽部は、“現実的なオブジェクト指向”の実践を目指し、技術ドキュメントの公開やメーリングリストでの情報交換、無料セミナーなどの活動を行う非営利の団体。第2回目となる今回のイベントは「失敗から学ぶオブジェクト指向〜本当にあった怖い話〜」をテーマに冠し、オブジェクト指向を取り入れたがための失敗談を参加者同士で共有しながら、「より実践的なオブジェクト指向とは何か」を学ぶ場とすることを狙った。
 

「オブジェクト指向実践者の集い 第2弾」の様子

 同倶楽部を主宰する永和システムマネジメントの平鍋健児氏は「Communication(コミュニケーション/会話)」「Courage(勇気)」「Learning(学習)」「Humility(謙遜)」が今回の催しで参加者に発揮して欲しい要素であるとオープニングトークで参加者全員に呼びかけた。これらの要素は、XPに代表されるアジャイルなソフトウェア開発を推進するうえでの鍵となる“態度”でもある。

 実践的なオブジェクト指向を追及する倶楽部らしく、「主賓講演」として設定されたのは、ウルシステムズの平澤章氏による“オブジェクト指向を巡る基本的な誤解の解消”をテーマとした講演だった。平澤氏は、オブジェクト指向を巡る混乱の要因は、「プログラミング技術」としてのオブジェクト指向と「汎用の整理術」としてのオブジェクト指向を同一のものとして認識しようとする態度にあるとする。
 
 例えば、オブジェクト指向の基本解説書や記事では、クラスやポリモーフィズムなどを説明する際に、現実世界をそのままオブジェクト指向という考え方を適用して表現しようとする。しかし、「オブジェクト指向と現実世界は大違い」(平澤氏)であり、オブジェクト指向を正しく理解するには、まず、プログラミング技術として、構造化プログラミングの限界を突破した後に登場した新たな技術として理解することが重要であり、主に上流工程における汎用の整理術として応用されるオブジェクト指向とはまったくの別物としてとらえることが必要だと力説した。

 オブジェクト指向の話題は確かに大きな広がりを持って迎えられる傾向にある。哲学や認知論の領域にまで“侵食”する議論も少なくないことは事実である。参加者は、平澤氏の議論に納得しながらも、オブジェクト指向という技術の厳密な定義について、質問をしていた。

 主賓講演の後は、ライトニングトークスが行われた。7人の参加者が5分の持ち時間を与えられ、開発現場で直面した“怖い事件”をそれぞれ話すという趣向である。現場でソフトウェア開発に従事するエンジニアなら一度は直面するような不条理な事態(会社全体でオブジェクト指向は一切禁止、プロジェクト・マネージャがオープンソースの使用を許さない、1つのメソッドが600行〜800行にわたるコードがまかり通る、などなど……)が参加者の口から次々に繰り出され、会場は爆笑の渦に包まれた。

(編集局 谷古宇浩司)

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オブジェクト倶楽部

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