Semantic Webをメタメタにしないために

2004/7/15

 Webサイトにコンテンツの意味を表わすメタデータを追加し、より正確な情報検索を可能にするSemantic Web(セマンティックWeb)。慶応大学教授でW3Cアジア地区ディレクタの萩野達也氏は、セマンティックWebが広く使われるための条件として「単純なメタデータから始めることが重要」と指摘した。

慶応大学教授でW3Cアジア地区ディレクタの萩野達也氏。XMLコンソーシアムの顧問も務める

 萩野氏は7月14日開催のXMLコンソーシアム・セミナーで講演した。萩野氏はセマンティックWebについて「人と人のコミュニケーションを実現するHTMLに対して、セマンティックWebは人と機械のコミュニケーションを実現する」と説明した。現在のWebサイトの検索がキーワードを基に行っているのに対して、セマンティックWebでは意味をベースにWebサイトを検索できる。つまり検索者の意図に近い検索結果を探し出せるということだ。萩野氏はさらにセマンティックWebを使うことで1つのWebサイトの結果を別のWebに表示するWeb連携や、意味をベースにデータを集めて新たなWebサイトを構築するなどの使い方が広がると説明した。

 しかし、セマンティックWebが普及するには障壁があると萩野氏はいう。それはメタデータを誰がつけるのかということ。セマンティックWebではRDF(Resource Description Framework)という形式でWebサイトの意味を記述し、メタデータとしてWebサイトに追加する。RDFはXMLデータとして記述することも可能で汎用性が高い。だが、既存のWebサイトに記述が複雑なRDFを追加するのは大きな負担になる。新たに作成するWebサイトにRDFを追加するのも、ツールなどが未整備な現状では難しい。

 萩野氏はこの問題の解決策として既存のWebサイトからメタデータを自動抽出し、WebサイトにRDFを追加するようなツールが必要になると指摘した。ダイナミックにWebサイトの内容を変化させるシステムでは、RDFを自動で追加できるようなアプリケーションをデータベースに組み込むことが有効。また新規作成のWebサイトに簡単にRDFを追加できるようなオーサリングツールも求められると述べた。

 「使いやすいセマンティックWebブラウザの登場も重要」と萩野氏はいう。セマンティックWebに対応したWebブラウザはいくつかあるというが、「さらに使いやすいWebブラウザが必要」。統計処理ツールやMicrosoft ExcelのようにWebサイトのデータをブラウジングできるツールが適しているとの考えを示した。

(編集局 垣内郁栄)

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