「国内第2位の通信事業者へ躍進」、ソフトバンク 孫社長

2004/8/12

 ソフトバンク 代表取締役社長の孫正義氏は8月11日、7月末に買収を完了した日本テレコムについて「個人に強いYahoo! BBと法人に強い日本テレコムで相互補完のシナジーが出せる」と述べ、日本テレコムの法人向けサービスを増強する考えを示した。孫氏はYahoo! BBのユーザーに日本テレコムの法人、個人ユーザーを加えることで1000万回線を超えるとして「NTTに次ぐ、国内第2位の固定通信事業者へ躍進した」と述べた。

ソフトバンク 代表取締役社長の孫正義氏。8月11日は孫氏の47回目の誕生日だった

 2004年3月末の日本テレコムの回線数は法人音声が163万回線、法人データが7万回線、個人音声が364万回線、個人データが158万回線で総計640万回線(重複分を除く)となる。Yahoo! BBの436万回線を加えると1076万回線になり、固定通信事業で第2位のKDDIを上回るという。

 日本テレコムは法人向けのデータサービスを増強する。企業ネットワークの認証やセキュリティ、無線LAN、ストレージなどYahoo! BBの既存サービスのインフラを生かして、相乗効果を出す考えだ。IP-VPNや広域イーサネットなどのサービスも積極的に売り込む。孫氏は「日本テレコムの顧客基盤はすでに課金しているありがたい顧客。新サービスを提案しやすく、獲得効率がよい」と述べた。

 Yahoo! BBと日本テレコムのネットワークインフラの統合も進める。国内のバックボーンをYahoo! BBと日本テレコムのネットワークで二重化することで信頼性を向上させる計画。ソフトバンクは当初、今後5年で500億円をかけてバックボーンを増強する考えだったが、日本テレコムのバックボーンと統合することで、その分のコストを削減できたという。

 ソフトバンクが同日発表した2005年3月期第1四半期(4−6月)の連結決算は売上高が1473億円で前年同期比42%増だった。営業損失は38億円の赤字。特にブロードバンド事業の営業赤字が183億円と回復が遅れた。孫氏は「情報漏えい事件などで足踏みしている。しかし、大半は顧客獲得のための一次費用で売り上げは右肩上がりで伸びている」と説明。2005年9月末までにYahoo! BBの会員数を600万人にすることと、連結の営業損益を2005年3月までに月次で黒字化することを目標に挙げた。

(編集局 垣内郁栄)

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