中小企業向けに機能をギュッ、ジュニパーの新SSL-VPN

2004/8/18

 ジュニパーネットワークスは中小規模企業向けのSSL-VPNアプライアンス「NetScreen Remote Access 500シリーズ」を8月17日に発表した。同社の大企業向けSSL-VPNアプライアンス「NetScreen Secure Access SSL VPN」のアークテクチャをベースにオプション機能を削るなどシンプル化。数日で導入でき、すぐに使い始められる点などをアピールする。オープン価格だが、同時アクセス数が10のRemote Access 510で90万円未満になる見通し。同日に出荷を開始した。

ジュニパーネットワークス 技術本部 SEリーダー セキュリティプロダクト担当 小澤嘉尚氏

 クライアントソフトが不要で導入が容易なSSL-VPNは2003年、大企業を中心に導入が進んだ。今年に入り中小企業向けの製品ラインアップが充実。在宅勤務者や外出先からのリモートアクセス用途で、中小規模企業でも伸びが期待されている。米Infonetics Researchは2007年には小規模企業の55%、中規模企業の74%がリモートアクセスVPNを導入すると予測している。今回SSL-VPNの中小規模企業市場に参入するジュニパーネットワークスは「他社と比べてかなり競争力がある」(ジュニパーネットワークス 技術本部 SEリーダー セキュリティプロダクト担当 小澤嘉尚氏)という90万円以下の製品を投入し、「アグレッシブに参入する」と意気込む。

 Remote Access 500シリーズは中小規模企業のニーズに合わせて機能を絞り込んだのが特徴。上位機種のSecure Access SSL VPNには基幹システムで利用するWebアプリケーションに合わせて通信を最適化するオプションや、可用性を向上させるクラスタリングの機能、基幹システムの複数の認証を統合するシングルサインオン機能、外部パートナー向けにエクストラネットで利用する機能などがある。

ジュニパーネットワークスが発表した「NetScreen Remote Access 500シリーズ」

 Remote Access 500シリーズではこれらのオプション機能を外し、「SSLによるトンネリングの機能だけに絞り込んだ」(小澤氏)。機能をシンプルにしたことで、導入時に必要なシステムのコンサルティングやアクセスコントロールの設定、ネットワーク側の設定変更などを不要にしたという。Remote Access 500シリーズは既存のネットワークを変更することなく導入稼働で、ジュニパーでは「数分でインストール作業は完了」と説明している。

 同時アクセス数はRemote Access 510が10、525が25、550が50。同時アクセス数はハードを交換することなく、50までアップグレードできる。

 小澤氏はIPSec-VPNとSSL-VPNの使い分けについても言及した。本社と支社、事業所などサイトtoサイトの利用が中心のIPSec-VPNに対して、SSL-VPNは外出先から会社のネットワークにリモートアクセスするなど移動するユーザー向けに提供するのが基本の使い方と説明した。小澤氏は、IPSec-VPN、SSL-VPNとも今後さらに伸びるとして「住み分けは可能。ジュニパーはIPSec-VPN、SSL-VPNの双方に自信がある」と強調した。

(編集局 垣内郁栄)

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ジュニパーネットワークスの発表資料

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