サポート切れ間近、NT 4.0のファイルサーバをどうする?

2004/9/23

 企業の部門などで情報共有に利用されているファイルサーバは、Windows NT Server 4.0など旧式のOSとPCサーバを組み合わせているケースが多い。しかし、NT 4.0ではセキュリティ対策や拡張性、運用管理性など現在のビジネスで求められる要件を満たすことは難しい。何よりも2004年末にはNT 4.0の有償サポートが終了し、修正プログラムの提供も終わる。オンラインサポートも2005年末には終了する。NT 4.0で動いているファイルサーバはどうすればいいのか? 9月22日に開催された「Windows Server World Conference 2004」(主催:月刊Windows Server World[IDGジャパン])で、SQL Serverユーザーグループ「PASSJ」の理事 河端善博氏がNT 4.0で動作するファイルサーバをいかに移行させるかをテーマに講演した。

PASSJ 理事の河端善博氏

 河端氏が示したファイルサーバの移行案は3つ。いずれも小規模オフィスや企業の部門単位で利用することを想定している。最も手軽に利用できるのはハードディスクを格納した低価格のNAS製品だ。基本的にLANに接続するだけでファイルサーバとして利用でき、ファイル共有が可能になる。「NT 4.0で構築していたファイルサーバならこれで十分。どうしても大切なデータ以外はやっていける」というのが河端氏の評価だ。Windowsドメインを利用できる製品も多く、低価格でファイルサーバを構築できる。

 一方、きめ細かな運用管理や拡張性、障害対策の機能を求めるなら低価格なNAS製品では十分でない。ファイルのバージョン管理ができないため部内の共同作業も非効率になる。そのようなユーザーに対して河端氏が勧めるのは「Windows Storage Server 2003」。Storage Server 2003は「Windows Server 2003」をファイルサーバ用途にチューンアップした専用OS。NECや日本ヒューレット・パッカードなどがStorage Server 2003を搭載したNAS製品を販売している。

 Storage Server 2003を搭載したNAS製品の特徴は、OSがプリインストールされているためネットワークに接続するだけで信頼性が高いストレージ環境を構築できること。ファイル共有だけでなく、プリンタ共有にも利用可能。Active Directoryドメインへの参加もでき、既存ネットワークとの親和性が高い。ファイル単位でデータをオンラインバックアップ&リカバリができる「Volume Shadow Copy Service」(VSS)の機能も搭載する。河端氏は加えて「大きなポイントはCAL(Client Acccess License)がないこと。製品にどれだけユーザーをつないでもOK。UNIXやマッキントッシュもサポートし、ファイル共有に手間が掛からない」と説明した。

 河端氏がNT 4.0のファイルサーバの移行先として示した3つ目の提案は「Windows Small Business Server 2003」(SBS)の利用だ。SBSはWindows Server 2003やExchange Server 2003、SQL Server 2000、ISA Server 2000を統合した小規模オフィス向けのパッケージ製品。河端氏は「10〜20人くらいの企業に受けている」と述べた。

 SBSが人気となっている背景にはWindows Server 2003が搭載するファイル管理機能がある。1つはStorage Server 2003も搭載するVSS。ファイルの変更履歴のデータを持つことができ、障害発生時に以前の状態にリカバリできる。河端氏が「これだけでもNT 4.0からマイグレーションする意味がある」とべたぼめする機能だ。また、河端氏はWebベースでファイル共有し、共同作業を効率化する「Windows SharePoint Services」(WSS)も「数十人の会社であれば十分に使える」と評価している。WSSはNT 4.0のファイルサーバでは不可能なファイルのチェックイン、チェックアウト、バージョン管理に対応する。さらに河端氏はファイル単位で情報保護を行う「Windows Rights Management Services」(RMS)についても「本当にお勧め」と述べた。

 河端氏はファイルサーバの移行について「NT 4.0時代のファイル共有にこだわらず、ユーザーニーズと組織のポリシーにあったソリューションの選択が必要」と指摘し、「Windows Server 2003のアドオン機能だけでも多くの機能が提供されている」と述べた。

(編集局 垣内郁栄)

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