NEC、「単にCPUが早いだけじゃない」世界最速スパコン

2004/10/21

 NECは10月20日、現在世界最高速となる演算性能最大65TFLOPS(テラフロップス)を実現したベクトル型スーパーコンピュータ「SXシリーズ モデルSX-8」を販売開始した。すでに100台以上の発注を受けており、2004年12月末には英国気象庁と独シュトゥットガルト・ハイパフォーマンス・コンピューティングセンターに1号機を導入する。価格は117万円(レンタル月額)から。

今後のNECのHPC戦略を語るNEC 執行役員常務 近藤忠雄氏

 SX-8はシングルノードの場合、最大8台のCPUを搭載することで128GFLOPSを実現している。このシングルノードを最大512ノードのマルチノード構成にすることにより、最大65TFLOPSを達成可能だ。また、メモリ容量を最大64TBと前モデル「SX-6」の4倍搭載したほか、CPUとメモリ間のデータ転送速度を最大262TB/秒(従来は36.8TB)に強化した。アプリケーション面では、従来のSXシリーズで利用されていたアプリケーションをサポートしている。NEC執行役員常務近藤忠雄氏は、「SX-8は“実効速度”にこだわったスーパーコンピュータだ。単にCPUが早いだけのスーパーコンピュータではない。メモリ間データ転送速度などを含め、“実効速度”で世界一早いコンピュータであると言える」と語り、性能に自信を見せた。

 現在、HPC(High-Performance Computing)は、ベクトルプロセッサという科学技術計算専用のプロセッサを搭載するベクトル型スーパーコンピュータと、インテルなどの汎用プロセッサを多数並列接続して高速処理を実現するスカラー並列型スーパーコンピュータの2種類に大別できる。両種共に得意分野と不得意分野があるものの、気象や流体解析などの複雑な大規模計算が必要な場合はベクトル型が、遺伝子解析など多数の計算を同時処理する場合にはスカラー並列型が向いているという。

世界最速を実現可能なベクトル型スーパーコンピュータ「SXシリーズ モデル SX-8」

 過去3年間、世界最速のスーパーコンピュータはNECの「地球シミュレータ」が実効速度35.86TFLOPSで首位だった。が、2004年9月29日にはIBMのスーパーコンピュータ「Blue Gene/L」が36.1TFLOPSを実現し、逆転されている。この点について近藤氏は、「地球シミュレータは最大性能の88%を実効速度として達成している。従って、もしどこかの会社がSX-8を512ノード導入すれば57.2TFLOPSを実現し、世界最速となれるだろう」と述べた。

 実例紹介では、海洋シミュレーションコードによって、1日に100年分の現象をシミュレーション可能となり、同等CPUのスカラー型の6倍以上を達成したという。また、衝突シミュレーションでは実車を数百万の部分(メッシュ)に分けて解析するが、メーカーが求める「500万メッシュを1日で解析できる」という条件には、SX-8でなければ応えられないとしている。

 近藤氏は「コストパフォーマンスで従来の3倍以上、消費電力で約2分の1など、TCO削減にも大きく貢献できる。SXシリーズの出荷台数は累計700台だが、SX-8は今後3年間で700台を販売する予定だ」と語った。さらに今後の方向性として「スーパーコンピュータレベルの開発となると、国家の協力が必須だ。今後も国家の協力を仰ぎつつ、さらなる実効速度の向上と次世代ベクトル型スーパーコンピュータの開発も行っていきたい」という計画を示した。

(編集局 大津心)

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