キーマンは村井教授か、ICタグ関連組織を整理する

2004/10/29

 次世代のバーコードシステムとして期待されている無線ICタグ(RFID)。経済産業省が主導し、さまざまな業界で実証実験が行われるなど本格普及も近いとされている。普及に伴って、国内の関連業界団体や研究機関が増えてきた。しかし、これら無線ICタグ関連の組織は母体が重なっていたり、名称が似ているなど分かりにくい面がある。10月28日に開催されたイベント「EPC RFID FORUM技術委員会 Auto-ID ラボ リサーチ・ミーティング」での講演を基に相関関係を整理したい。

慶応大の村井純教授。無線ICタグ関連組織の代表を数多く務める“キーマン”

 無線ICタグ関連の研究が始まったのは1999年。マサチューセッツ工科大学(MIT)が始めた。次世代のバーコードシステムを開発するのが目的で、研究を統括する組織として「オートIDセンター」が設立された。その後、無線ICタグの研究開発は世界に広がり、2000年には英ケンブリッジ大学、2001年には豪アデレード大学で研究がスタート。日本でも2003年に「オートIDセンター・ジャパン」が慶応大に設立され、慶應義塾大学の村井純教授が所長に就任した。

 無線ICタグ関連の組織が増えたのは2003年。欧米で実証実験が頻繁に行われ、実ビジネスでの利用が本格的に模索され始めた時期だ。2003年9月、オートIDセンターが、商品の流通コードに関する国際機関「国際EAN協会」と、米国の流通コード管理団体「Uniformed Code Council」(UCC)が共同で設立する非営利の新組織「EPCグローバル」に、オートIDセンターの開発成果を譲渡すると発表した。新組織のEPCグローバルは、さまざまな商業団体と協力し無線ICタグの利用を促進すると同時に、無線ICタグ用流通コードの管理や、無線ICタグの技術的な標準化を行う。

 国内では2004年1月、流通システム開発センター内に「EPCグローバル・ジャパン」が設立された。国内企業のEPCグローバルへの参加の促進や、新たに開発する無線ICタグを使った流通システム「EPCネットワーク」の利用権の管理などを行う。無線ICタグに興味を持つ企業に対する情報提供や実証実験の支援なども行う。流通システム開発センター 専務理事の坂井宏氏によるとEPCグローバル・ジャパンのメンバー企業は19社。EPCグローバルの参加企業は北米が359社で全体の75%を占めている。全世界では478社が参加する。

 一方、EPCグローバルは、旧オートIDセンターの研究成果を移管する形でMITやケンブリッジ、慶応大など世界の6大学に「オートIDラボ」を設置した。慶応大の村井教授がオートIDラボの共同議長を務める。村井教授はオートIDラボの国内組織、「オートIDラボ・ジャパン」でも所長を務める。村井教授はイベントで、「いかにビジネスに貢献できるか。そして無線ICタグに関する社会的なコンセンサスづくり、法整備への助言なども大学の研究機関の責任になる」と述べた。村井教授はまた、6大学が協調して無線ICタグの研究開発を行うことの重要性を指摘し、「ラボ間のネットワークづくりに力を入れてきた。グローバルな研究内容をお互いに連携させ、協調作業ができる体制が整ったというのがポイント」と説明した。

 国内ではさらに無線ICタグ関連の組織が生まれた。2004年7月、オートIDラボ・ジャパンと電子商取引推進協議会(ECOM)、EPCグローバル・ジャパンが共同で新組織「EPC RFID FORUM」を設立した。設立の目的は無線ICタグが適切に導入されるようにビジネス面、技術面でさまざまな検討を行うこととなっている。EPC RFID FORUMの代表幹事は4人。村井教授も代表幹事の1人となっている。村井教授は、無線ICタグのキーマンといえるだろう。

(編集局 垣内郁栄)

[関連リンク]
EPCグローバル
EPCグローバル・ジャパン(流通システム開発センター)
オートIDラボ・ジャパン
EPC RFID FORUM

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