要求定義もプロジェクト管理もEclipse上で、IBM

2004/11/5

日本IBM ソフトウェア事業 Rational事業部長 宮橋一郎氏(左)と同 ブランドマネージャ 渡辺隆氏(右)

 日本IBMは11月4日、Eclipse3.0上に統合したソフトウェア開発製品群「IBM Rational Software Development Platform」を発表した。コードネーム“Atlantic”と呼ばれていた統合開発ツール群である。「要求定義」「設計」「構築」「品質検証」「変更管理」「プロジェクト管理」といったソフトウェア開発の各工程向けのツールをEclipseのプラグインとして開発し直した。プラットフォームがオープンソース環境なので、ユーザーが独自で開発したツールと連携させたりするなど、開発環境の拡張を比較的容易に行えるようになる。12月4日から出荷する予定。

 「IBM Rational Software Development Platform」は、Java開発者向けツールの「IBM Rational Web/Application Developer for WebSphere」の2製品とモデリングツール「IBM Rational Software Modeler」、これらの製品の機能を包含する「IBM Rational Software Architect」と、テストツール「IBM Rational Manual Tester」「IBM Rational Functional Tester」の6製品で構成されている。これらの製品を1つにパッケージしたバンドル(組み込み)製品「IBM Rational Professional Bundle」も用意している。

 それぞれの製品の機能は従来製品の機能を継承したもので大きな違いはないが、ユーザーインターフェイスを改良し、直感的な操作をしやすくした点に特徴がある。.NETプラットフォームには「Visual Studio .NET」があるが、J2EE環境においてビジュアルベースの開発ツールが登場したのはJSF(Java Server Faces)が発表されたつい最近のことである。

 また、アーキテクトやデベロッパ、テスターなどソフトウェア開発に携わる人々同士のスムーズな連携を促進するという点も特徴的である。チーム開発をツールの側面から連携するという戦略はマイクロソフトも「Visual Studio 2005 Team System」で採用する予定である。マイクロソフトは、「設計」「開発・デバッグ」「テスト」「配置・運用」「プロジェクト管理」の各分野において、ツールを統合する。OS環境は当然、Windowsの次世代バージョン(コードネーム:Longhorn)で、実行環境として.NETが存在する。IBMはOSにこだわりはみせないものの、実行環境としてEclipseに巨大な投資をしている。目的は同じだが、手段は違う。ソフトウェア開発環境のトレンドは、統合化の道を歩んでいるとみることができる。

(編集局 谷古宇浩司)

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