OS障害でもリカバリできる、BIOS大手の新ソフト

2004/11/12

 フェニックス テクノロジーズは11月11日、クライアントPC向けのバックアップ/リカバリソフトウェア「Phoenix FirstWare Recover Pro 2004」を2005年初めにも発売すると発表した。フェニックスはPCのBIOS開発ベンダの大手。Windowsが起動しないトラブルでもBIOSから専用OSを起動してリカバリする機能を搭載するなど、BIOSとの連携を特徴としている。

フェニックス テクノロジーズ 代表取締役社長 松島努氏。前職はブロケードコミュニケーションズシステムズの代表取締役社長

 代表取締役社長 松島努氏によるとフェニックスのBIOSは「世界で80%、国内では90%のシェアがある」。FirstWare Recover Pro 2004では得意のBIOS技術を活用した。Windowsが起動しないようなトラブルが発生してもBIOSから別のOS「cME」を起動し、リカバリの処理を実行させることができる。フェニックスでは「コンピュータ・ウイルスによる障害や誤操作によるファイルの削除からでもリカバリできる」としている。

 バックアップ/リカバリの基本操作はシンプルだ。1クリックで差分バックアップや完全バックアップが可能。スケジュール設定によるバックアップの自動化もできる。リカバリも3クリックで可能。ファイルやフォルダ単位のバックアップ/リカバリには対応せず、ドライブ単位にのみ対応する。SOHOや中小企業など多機能なバックアップ/リカバリを必要としない顧客をターゲットにした製品で、フェニックスでは「とにかく以前の状態に戻りさえすればOK」というニーズにこたえられるとしている。

 FirstWare Recover Pro 2004はデータのバックアップをCD-RやDVD-Rなどのメディアではなく、PCのハードディスクドライブに行うのも特徴。一般の操作ではアクセスできない保護パーティションをドライブに設定し、そこにバックアップデータとFirstWare Recover Pro 2004の実行ファイルを保存する。万一、システムにトラブルが発生した場合はBIOSがこの保護パーティションにアクセスし、データをリカバリする。保護パーティションは通常はユーザーから見えず、ウイルスなどにも感染しないという。保護パーティションはディスク容量全体の20%程度を設定する。

 フェニックスはFirstWare Recover Pro 2004をリテール販売とともに、システム・インテグレータや販売代理店を通じて企業にも売り込む考え。リテール販売での価格は「5000円以下と考えてもらいたい」(松島氏)としている。

(編集局 垣内郁栄)

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