マイクロソフト、嘉悦女子高校でセキュリティの授業

2004/11/16

 マイクロソフトと私立嘉悦女子高等学校は11月15日、情報セキュリティ公開授業を行った。今回の試みは、経済産業省と財団法人 コンピュータ教育開発センター(CEC)が平成16年度産業協力情報授業の一環として実施したもの。講師を務めたマイクロソフトの奥天陽司氏は「企業向けのセミナーには慣れているが、高校生向けに授業を行うのは初めて。最初はドキドキした」と感想を述べた。講義の対象は高校2年生で、普段は教科「情報コミュニケーション」において、パソコンを使った授業を受けている。

生徒に教えるマイクロソフト セキュリティ・レスポンスチーム マネージャ 奥天陽司氏

 マイクロソフトの情報セキュリティに対する積極的な姿勢は、企業向けに対してはかなり浸透してきた感がある。しかし、「(家庭などでしかPCを使わない)一般ユーザーにセキュリティの重要性を伝達する方法がなかなかなかった」(マイクロソフト 業務執行役員 最高セキュリティ責任者 東貴彦氏)。今回の公開授業はマイクロソフトにとって、一般ユーザーにセキュリティ対策の啓蒙活動を展開する「実験」でもある。長期的にみれば、マイクロソフトが作成した教材(デモ用プログラムなども含む)および講義ノウハウの教育機関への提供という可能性もみえてくる。もちろん、マイクロソフト製品の普及という目的のための手段でもある。

 とはいえ、教育現場では民間企業のノウハウは貴重なものだ。嘉悦女子高校の中山忠教諭は「机上の理論を伝える授業ならわたしにもできるが、デモ環境の整備などを考えると、プロの協力は非常にありがたい」と話す。奥天氏の授業の1回目は、ネットワーク上に存在するさまざまな脅威を実際のデモ・プログラムを活用しながら生徒に体験させるものだった。2回目には具体的な防御方法を解説する予定である。

 奥天氏の解説からは、できるだけ「難しい用語」を使わずにネット上のセキュリティの重要性を生徒に伝えようとする努力の跡がみられた。ITにかかわる話は、機器そのものが日常に浸透しているにもかかわらず、いまでも難解であることに変わりはない。情報リテラシーという見えない壁をどう取り払うか。この課題は地道な努力の継続でしか越えらない。

(編集局 谷古宇浩司)

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マイクロソフト
財団法人コンピュータ教育開発センター(CEC)
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