「団塊世代はもっと働け」、IBMがOBを起用し中堅開拓

2004/11/18

 日本IBMは中堅企業向けのコンサルタントとしてIBMのOBやユーザー企業のシステム部門出身者、他社ベンダのOBらを組織する「IBM シニアプロ コミュニティー」を発足させると11月17日に発表した。すでにIBMのOBを中心に20人を集めた。コミュニティーの代表世話人を務める、元日本IBM取締役の竹内雄司氏は「われわれでもう一度“プロジェクトX”をやろうと思う。主役はまだまだ私たちである」と意気込んでいる。

日本IBMの常務執行役員 ゼネラルビジネス事業担当 堀田一芙氏

 コミュニティーのターゲットは中堅企業のシステムのリプレース。他社やIBMのシステムが入っている企業のコンサルティングを行って、最新のIBM製品への置き換えを提案する。特にオフコンをIBMの「IBM eServer iSeries」に置き換えることを狙っている。経験豊かなOBを起用し、通常のコンサルティングよりも時間をかけて顧客との良好な関係づくりを目指す。

 日本IBMの常務執行役員 ゼネラルビジネス事業担当 堀田一芙氏は「IBMの平均年齢は40歳。若手が中堅企業に行っても顧客企業の社長の言葉や苦労が分からないこともある」と述べ、システムの提案を長年行ってきたOBを起用し、中堅企業への食い込みを強化する狙いを説明した。コンサルティング料は通常のIBMのコンサルティングと比較して「そうとうに安くないといけないと思う」(堀田氏)としている。

 竹内氏はコミュニティーの活動について「中堅企業への提案で難しいのが顧客企業との関係づくり」と説明。「相当の時間をかけて顧客の課題を洗い出し、リプレースを働きかける」と述べた。コミュニティーのメンバーは最初の2〜3カ月で顧客企業の現状を分析し、リプレースのプランを策定する。その後はIBMのパートナー企業やIBMと連携し、リプレースを提案、システムを構築する。

 すでに選任された20人は52〜67歳で平均年齢は61.6歳。約7割がIBMのOBで、システム・エンジニア出身者が6〜7割を占めるという。日本ユニシスのOBやユーザー企業の情報システム部門出身者もいる。IBM内にコミュニティーの事務局を設置する。特定の部署や法人は作らず、「緩やかなネットワーク」(堀田氏)でメンバーを組織する。IBMはコミュニティーに対して、マーケティングの支援やIBM、パートナー企業との連携、インフラの提供を行う。活動に対してIBMやパートナー企業が対価を支払うこともあるが、「理想的なのはコミュニティーの担当がコンサルタントとして顧客と契約すること」(堀田氏)としている。2005年初めに活動を始め、2005年春までに3件程度の顧客獲得を目指す。コミュニティーのメンバーの追加も検討している。

 堀田氏は「IBMを見ると団塊の世代であまり目立たず、地味にやっているシニアのOBがいる。元コンサルタントや元プロジェクトマネージャなどIBMのOBに限らず、落ち着かないでもっとやることはある」とOBにハッパをかけた。

(編集局 垣内郁栄)

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日本IBMの発表資料

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