“見て触れるTRIOLE”を実現する9億円の施設、富士通

2004/12/10

富士通 代表取締役社長 黒川博昭氏

 富士通は12月9日、同社やパートナー企業の製品全般に関するコンサルティングから検証までを1カ所で一貫して行える戦略拠点「Platform Solution Center」を開設した。3600平方メートルの敷地に、サーバ280台と検証ルーム18室、セミナールーム12室、スタッフ300名を備え、ユーザーのプラットフォームを総合的に検証・評価できる施設としては国内最大だと謳(うた)っている。

 富士通は、ユーティリティ・コンピューティングのためのIT基盤「TRIOLE」を提唱しており、このコンセプトに基づいた製品を数多く提供している。このTRIOLEのコンセプトに基づいた同社製品や、同社のパートナー企業製品を実際に「見て、知って、触れる」ことをコンセプトにPlatform Solution Centerは開設された。

 具体的には、富士通のTRIOLEに基づいた製品群やパートナー企業製品の展示に加え、各種検証も行える。取り扱い商品はパートナー企業の製品を含め、プラットフォーム製品から業務パッケージソフトウェアまで250社800製品に上る。ユーザーが自社システムを持ち込み、新しいプラットフォーム上で動作するかどうかの動作検証などを実機上で行えるのも特徴だ。専任スタッフによる、コンサルティングサービスや専門技術相談なども受けることができる。また、富士通研究所の先端技術や製品ロードマップ、業界動向などの各種情報提供も行っていく。

Platform Solution Center内にあるサーバ展示場。奥には日立製サーバなど、富士通製品以外のサーバも展示されている。また、階下には検証ルームがある

 富士通代表取締役社長の黒川博昭氏は、「TRIOLEの基盤は、すでに5月からヨーロッパなどでも展開しており、今回のセンター開設で日本もより強固となった。一方、世界最大市場とも言える『米国のPC市場』における当社の立場はプラスマイナスゼロになったばかりであり、来年以降一気に攻めたい。すでに当社のPCを利用している米国の大企業からは好印象を得ている」といった今後の戦略を明らかにした。

 取締役専務の伊東千秋氏は、Platform Solution Centerの開設背景を「当社の新横浜にあるミドルウェア検証センターや、ストレージ検証用の川崎のセンターなど、複数個所の検証センターを1カ所にまとめて、他社製品も含めたプラットフォームを一貫して検証できるセンターを開設したいと以前から考えていた。今回約9億円を掛けて、念願だったセンターを開設できた」と説明している。

 なお、先日発表されたIBM社のPC事業売却に関して、黒川氏は「IBMの経営方針ならば、あのような経営判断も“あり”だと、以前から考えていた」とコメント。「一定の利益が出ているものの、IBM社の一貫した経営方針から外れていると判断した場合、売却という選択肢を選ぶ可能性もあるだろうなと思っていた」と感想を述べたうえで、「当社はパートナーシップの締結によるビジネスモデルを強化し、お客さまとの接点に付加価値を見いだすという、IBM社とは異なった方針を打ち出している」と述べ、IBM社との方向性の違いを強調した。

(編集局 大津心)

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Platform Solution Center

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