“IPv6はやっぱり日本”と世界にいわせたい、アラクサラ

2004/12/21

 アライドテレシスホールディングスとアラクサラネットワークスは12月20日、販売・サポートや技術協力に関する業務提携について合意したと発表した。アライドテレシスは、アラクサラネットワークスが開発したハイエンドスイッチ「AX7800Sシリーズ」のOEM提供を受け、2005年2〜3月ころより販売を開始する予定だ。

がっちり握手する両者。左がアラクサラネットワークス 取締役社長 和田 宏行氏。右がアライドテレシスホールディングス 代表取締役 高木 弘幸氏

 アラクサラネットワークスは、日立製作所とNECのハイエンドスイッチおよびルータ事業を統合し、2004年10月1日に発足した新会社。ハイエンド市場では、現在シスコシステムズなどの外資が強いのが現状だ。それに対して、日立やNECは戦略会社を設立し、e-Japan戦略関連事業などの政府関係や、世界一ともいわれるブロードバンド先進国をけん引している通信キャリアや大企業をターゲットにシェア拡大を図りたい思惑がある。

 一方、アライドテレシスホールディングスは1987年に設立後、スイッチやルータなどの販売を地方自治体やISPなどから中堅企業まで幅広く販売している。しかし、アライドテレシスホールディングス 代表取締役 高木 弘幸氏によると、「ISPに対しては、レイヤ3などの比較的安価なものを中心に提供しており、コア市場やハイエンド市場向けには、該当製品を当社が持っていないこともあり、なかなか食い込んでいけなかった」といった壁があったという。

 このように、アライドテレシスホールディングスの子会社が持つ国内および世界33カ国の独自販売網を利用し、拡販を狙いたいアラクサラネットワークスと、アラクサラネットワークスの製品によって、ハイエンド市場に食い込みたいアライドテレシスホールディングスの両社の思惑が合致した業務提携だ。

 具体的な提携内容は4段階となっている。第1フェイズではアラクサラネットワークスのハイエンドスイッチ製品のOEM版の販売を開始する。これは2005年2〜3月ころを想定している。第2フェイズでは、2005年4〜5月ごろにルータ製品のOEM版の販売を開始する。第3フェイズでは、アライドテレシスホールディングスの世界33カ国の販売網のうち、主要20カ国において、スイッチとルータの販売を開始する。これは、「最悪でも9月くらいまでには開始したい」(アライドテレシス 代表取締役副社長 長尾 利彦氏)を想定している。最終の第4フェイズでは、両社製品の相互接続性の確保をメインとした共同開発を2006年ごろに開始したいとしている。

 アラクサラネットワークス 取締役社長 和田 宏行氏は、「アライドテレシスホールディングスは2004年4月より、IPv6開発に開発費の70%を投入する戦略を打ち出すなど、IPv6に力を入れている。当社も同様に力を入れている。IPv6に力を入れている両社が提携することにより、今後さらに『IPv6ではやはり日本が強い』と世界にいわせたい」と抱負を語った。また、高木氏は、「ハイエンド市場は、今後の拡大市場であると見込んでいる。初年度でも10億円以上、3年間で(アライドテレシスで)100億円の売り上げを目指す」との目標を示した。

(編集局 大津心)

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アライドテレシスの発表資料
アラクサラネットワークス

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