IT防災装置が警告、「震度6の地震が20秒後に発生」

2005/1/15

 アペクセラは気象庁が発信する緊急地震速報をインターネット経由で受信し、予想される地震の震度と到達までの時間を音声で知らせる家庭用の緊急地震速報通報装置を開発した、と1月14日に発表した。アペクセラの代表取締役社長 長谷川勇氏は「この装置の開発者のすべてが阪神・淡路大震災の経験者。ITを防災に生かせていればという痛恨の念でこのシステムを開発してきた」と目を潤ませながら語った。

アペクセラの代表取締役社長 長谷川勇氏

 アペクセラは開発した装置を使って、気象庁と電子情報技術産業協会(JEITA)が2005年4月から首都圏の300戸を対象に行う「緊急地震速報活用・家庭内機器制御・IT自動防災システム」の家庭内実証試験プロジェクトに参加する。

 地震には伝播速度が速い「P波」(初期微動)と、伝播速度は遅いが大きな揺れを引き起こす「S波」(主要動)がある。地震被害の多くはS波が到着した以降に起きる。気象庁の緊急地震速報は全国に設置したセンサーで震源近くのP波を検知し、P波から分かる地震の発生時刻、震源の緯度経度、深さ、マグニチュードを速報として伝えている。実証実験ではJEITAがこの速報を受け取り、インターネットに流し、各家庭に設置した装置で受信できるかを確かめる。

アペクセラが開発した家庭用の緊急地震速報通報装置

 アペクセラが開発した装置は気象庁、JEITAから配信された速報をインターネット経由で受信し、事前に登録した設置住宅の緯度経度や地盤の情報などを合わせて計算。本揺れとなるS波が到着するまでの時間と、予想される深度を割り出す。装置には音声読み上げ機能があり、地震が発生すると「緊急地震速報。震度6の地震が20秒後に発生します」などと読み上げて、警告する。アペクセラによると、2004年9月5日に発生した和歌山沖地震のケースでは、西宮や尼崎など阪神地区の住宅が装置を設置していれば、地震発生の35秒前に地震の震度や揺れる時刻を知ることができたという。

 アペクセラはこの装置と、別に開発した家庭内コントローラ「i-SIRIC」を組み合わせて、地震発生時に自動的に家庭のガスを遮断したり、ドアを自動開閉することが可能な2次被害防止システムとしても売り込む考え。i-SIRICにオプションのユニットを組み合わせることでテレビのスイッチを自動でオンにすることや、家庭で飼っているペットの鎖を外して逃がすことなどもできるという。アペクセラでは住宅メーカー、マンション施工業者、ガス会社などと連携し、これらのシステムを開発していくとしている。

(@IT 垣内郁栄)

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