「次は階層型ストレージ・ネットワーク」、マクデータが提唱
2005/1/20
マクデータ・ジャパンはサイト間の大規模SANを結合するためのバックボーン向けファブリック・ディレクタ「McDATA Intrepid i10K Director」を1月19日に発表した。マクデータはストレージの構築で階層型ストレージ・ネットワークを提唱している。i10Kはその階層型ストレージ・ネットワークの基軸となる製品で、複数ベンダのファイバチャネル・スイッチを統合できる。
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| マクデータ・ジャパンのカントリー・マネジャー 石本龍太郎氏 |
マクデータ・ジャパンのカントリー・マネジャー 石本龍太郎氏は日本のSANの現状について「小さなスイッチを使った小規模SANが多い」と指摘。「小規模SANを大規模SANに拡張しようと思ってもスイッチに拡張性がなかったり、ポート数が足りない、機能が追いつかない、インターオペラビリティがない、などの問題がある」と述べた。i10Kはこの問題を解決する製品で、「拡張性がある大型のディレクタを使って大規模SANを構築できる」としている。マクデータは分散環境にあるストレージを相互接続し、一元管理できる次世代のストレージ環境として「グローバル・エンタープライズ・データ・センター」（GEDC）を打ち出している。階層型ストレージ・ネットワークの構築を可能にするi10Kの発表で「GEDCのスタート地点に立った」（石本氏）との認識だ。
マクデータが提唱する階層型ストレージ・ネットワークは「バックボーン」「配分」「アクセス」の3階層モデル。それぞれの層に最適なディレクタ、スイッチを配置し、SAN管理ソフトウェア「SANavigator」で統合管理することでコスト削減につなげられるとしている。Tier 1の「バックボーン」にはi10Kのようなハイエンドのディレクタを設置し、ミッションクリティカルな業務に利用するサーバを接続する。Tier 1のディレクタには長距離の通信性能を持たせて、異なるサイトのSANを結合可能にする。Tier 2の「配分」に設置するディレクタは中規模SANの構築に使う。ミドルレンジ・ストレージ、中規模サーバを接続する。Tier 3の「アクセス」ではスイッチを設置して、小規模なSANを構築する。マクデータのシニア・コンサルタント・システムエンジニア 山田祐輔氏は「従来のフラットなSANではネットワークの拡張性、機能が不十分。今後は階層型ネットワークが必要になるだろう」と述べた。
国を超えたSANの結合など長距離での接続が必要な場合は、マルチベンダのSANスイッチに対応し、iSCSI、iFCPなどIPネットワークのポートを持つSANルータ「Eclipse SAN Router 2640」を設置する。Eclipse SAN Router 2640のiFCPを使うと、独立したファブリックを独立した状態のまま相互接続可能。そのため各ファブリックの設定を変更する必要がないという。
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| マクデータが発表した「McDATA Intrepid i10K Director」 |
マクデータが発表したi10Kは、ファブリックを統合するパーティショニング技術などストレージ・ネットワークのバックボーンを支える技術を実装する。パーティショニング技術は「Director FlexPar」の名称で、データ、管理、ファイバチャネル・サービスの分離性を保ったままでパーティションを動的に設定でき、複数ベンダのファブリックを統合できる。i10Kは最大で256ポートを搭載可能。通信速度は最大10Gbpsで、190キロの距離まで通信できる。1Gbpsの通信なら2200キロ、2Gbpsなら1100キロまでの通信に対応する。
マクデータはi10KをEMC、IBMにOEM提供する。国産ベンダ1社にもOEM提供する予定。マクデータのチャンネルデベロップメント 常務執行役員 茂呂美千博氏は同社の2004年の国内ディレクタ市場のシェアが67.4％と説明したうえで、「2006年までに85％に持っていきたい。スイッチ製品と合わせてトータルで国内40％のシェアを獲得するのが目標」と語った。
また、米マクデータは1月18日、ストレージベンダのコンピューター・ネットワーク・テクノロジー（CNT）を買収すると発表した。マクデータの石本氏は「買収が完了した段階で詳しいことを説明したい」としながらも「CNTは長距離、リモートの技術に長けた企業。CNTの製品はマクデータが推進するGEDCの構成要素として、GEDCを補強する位置付けになるだろう」と述べた。
（＠IT 垣内郁栄）
[関連リンク]
米マクデータのi10K発表資料（英文）
米マクデータのCNT買収発表資料（英文）
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