「日本人は優れている」、富士通の英国子会社

2005/2/19

 富士通のIT基盤「TRIOLE」の海外展開が加速している。富士通本社と協力し、TRIOLEを活用したシステム構築やアウトソーシングサービスを展開している英国のFujitsu ServicesのCTO マーク・シルベスター(Marc Silvester)氏はTRIOLEを、「日本の素晴らしいエンジニアリングによって、再利用と共通化を実現する新しくて成熟した方法を提供する」と評価している。

英Fujitsu ServicesのCTO マーク・シルベスター氏

 シルベスター氏によるとFujitsu ServicesのCEO デビッド・コートレイ(David Courtley)氏も、英国メディアのインタビューで「日本人はコンセプトに則り、適切な形で導入することにとても優れている」と語り、日本人との協力作業を評価したという。

 Fujitsu Servicesは英国で公共機関のアウトソーシングを多く手がけている企業。国税、医療、郵政などのアウトソーシングやシステム構築を担当してきた。2004年の売上高は32.8億ドル。売り上げのうち、60%が公共機関からで、民間企業からの売り上げは40%。英国だけでなくフィンランドやアイルランド、ポルトガルなど欧州各国から受注している。

 TRIOLEは、導入する企業やその業種に合わせてハードウェアやミドルウェア、サービスをパッケージ化して事前検証した「TRIOLE テンプレート」を作成するのが特徴。シルベスター氏によると、Fujitsu Servicesは、日本の富士通本社、Fujitsu Servicesのそれぞれが作成したTRIOLE テンプレートを70以上持っているという。当初は、日本で作成したTRIOLE テンプレートを英国に持っていっても、Fujitsu Servicesのエンジニアが商慣習の違いなどで戸惑うことがあったという。しかし、それも「一番最初の取り組みのところだけ」(シルベスター氏)。TRIOLE テンプレートに問題が発生しても、その発生場所に日英のエンジニアが集まり、集中して対処した。

 TRIOLE テンプレートの輸出は、まず数百ページのドキュメントを翻訳することから始まる。翻訳だけで「1カ月くらいかかる」(富士通のTRIOLE 推進室長 三津濱元一氏)といい、その後の検証なども含めると実際にTRIOLE テンプレートが導入されるまで長期間が必要だった。三津濱氏は「今後は日英対応のTRIOLE テンプレートを作る」と話していて、TRIOLEの海外展開をバックアップする方針だ。

(@IT 垣内郁栄)

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