オープンソースはダメ? マイクロソフトが教える“よいRFP”とは

2005/2/25

 マイクロソフトは2月24日、地方自治体の情報システム担当者を対象に実効的なRFP(Request for Proposal:提案依頼書)の作成をレクチャーする講座を、各地域のベンダなどと協力して、2005年度前半にも始める考えを示した。マイクロソフトの執行役 公共インダストリー統括本部長 大井川和彦氏は「地方自治体は2年おきに情報システムの担当が変わり、専門家の育成が難しい」と指摘。地方自治体の担当者の知識を高めることで「より開かれた調達が実現できる」と話した。

マイクロソフトの執行役 公共インダストリー統括本部長 大井川和彦氏。経済産業省出身で2年前にマイクロソフトに転職した

 大井川氏は地方自治体の情報システムについて、「メインフレームの利用率が高く、ベンダにロックインされている。そのためベンダを変えられないし、システムのリプレースも困難。メンテナンスコストも増大している」と説明。これらの問題を解決するために、「マイクロソフトはよりオープンなシステムを作るべきと考える」(大井川氏)。具体的には商用パッケージソフトウェアやオープンスタンダード技術の採用を提唱した。

 大井川氏は「より開かれた調達のためにもサービス指向アーキテクチャ(SOA)を提唱している」と話し、Webサービス技術を使ってレガシーシステムなどを統合することが有効との考えを示した。大井川氏はSOAについて「マイクロソフトが世界でリーダーとして提唱している」と述べ、自社のSOA技術に自信を見せた。

 マイクロソフトが始めるRFP講座は、パッケージソフトウェアの採用やオープンスタンダード技術、SOAなどマイクロソフトが提唱する「より開かれた調達」の考えを受講者に伝える。マイクロソフトは電子自治体案件の調達に参加したい地方のITベンダに対しても、同様の考えを伝える講座も設ける考えだ。

 電子政府/電子自治体の案件ではLinuxなどオープンソースソフトウェアの採用が話題になることが多いが、大井川氏は「オープンスタンダードとオープンソースを間違って理解している人が多い」と指摘。そのうえで「幅広い選択肢を提供したり、柔軟なシステムを作ることが顧客にとって究極のメリットであると考えると、ソースコードがオープンであるかどうかは2次的な話に過ぎない」と述べた。大井川氏は「電子政府/電子自治体にとって大事なのは、オープンスタンダードであって、オープンソースではありません」と言い切った。

 マイクロソフトによると、全国の県と政令指定都市(合わせて60の自治体)のうち、Active Directoryを採用しているのは22の自治体。徳島県鳴門市の次世代システム構築に関してアドバイザー契約を結ぶなど、マイクロソフトは地方自治体への食い込みを強めている。ただ、セキュリティを心配する政府に対してWindowsのソースコードや技術情報を開示する「Government Security Program」への日本政府の参加については、「まだ参加は決まっていない。前向き、積極的な議論をしているところ」(大井川氏)で、電子政府の“本丸”を落とすまでには至っていないのが現状のようだ。

(@IT 垣内郁栄)

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