インテル、あせってる? FB-DIMMの近況を説明
2005/4/9
インテルが開催中のプライベートイベント「インテル・デベロッパ・フォーラム Japan 2005」の2日目となる4月8日、次世代メモリ「FB-DIMM(Fully Buffered DIMM)」の説明が64bitIAサーバ技術トラックで「サーバ・メモリ技術の進歩」と題し、インテル アプリケーション スペシャリスト 渥美和彦氏によって行われた。
インテル アプリケーション スペシャリスト 渥美和彦氏 |
インテルがFB-DIMMの開発を急ぐ理由には、「CPUはマルチコア化が推進しており、I/OではPCI Expressが登場している。これらの進化にメモリだけが遅れるわけにはいかない。すべてがバランスよく進化しなければ、トータルの性能アップは望めないからだ」(渥美氏)といった事情があるようだ。特にインテルが強力に推進しているCPUのマルチコア化に関しては、「マルチコア化が進むとメモリ容量は飛躍的に増える。例えば、デュアルになれば単純にメモリ容量も2倍必要だろう」(渥美氏)としており、「マルチコア化されたItanium 2やXeonプロセッサを有効活用するためには、現在の数倍の大容量メモリが必要になるかもしれない」と予測した。
従来のDDR2と比較した場合、スロットが4倍の8個あることから容量で4倍、スループットで33%の向上を実現した。また、メモリコントローラが3倍のチャンネルを持てることから、メモリコントローラあたりでは、容量で12倍、スループットで4倍だとしている。ただし、低いスループットでは遅延(レーテンシー)がDDR2より大きいため、渥美氏は「低いスループットで使用する可能性の高いコンシューマ製品には向いていないだろう」と説明している。そのほか、発熱量がDDR2より多いため、放熱の問題も考慮しなければならないという。
渥美氏によると、FB-DIMMではRAS(Reliability:信頼性、Availability:可用性、Serviceability:保守性)の向上も図られている。具体的には、エラーチェックを行うCRC(Cyclic Redundancy Check)を搭載して耐障害性が向上しているほか、メモリから正常でないレスポンスを受けた場合にリトライする機能、問題のあるDIMMがあった場合にスルーする「パススルー機能」を搭載している。
FB-DIMMの完成度に関しては、「FB-DIMMの仕様はほぼ100%完成している。2006年前半以降に出荷されるXeonプロセッサはすべてFB-DIMM対応となる予定だ。FB-DIMMはすでにサンプル出荷されているので、ぜひテストしてほしい」(渥美氏)と説明した。しかし、「デスクトップ向けにFB-DIMMが提供されるか」という質問に対しては、「FB-DIMMは大容量で真価を発揮するので、現在1GHz程度で十分なデスクトップ環境では十分な実力を発揮できないと考えている。従って、デスクトップへのFB-DIMMの採用は考えていない。今後、それ以上のスペックを求められるようになったら検討する」と解答するに留まった。
(@IT 大津心)
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インテル・デベロッパ・フォーラム Japan 2005
インテル
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