モデル駆動型アーキテクチャは革命などではない

2005/4/28

 ビジネスプロセスをグラフィカルに記述し、それを設計図としてソフトウェアを構築すること。このモデル駆動型アーキテクチャを推進するオブジェクト・マネジメント・グループ(OMG)の会長兼CEOのリチャード・ソーリー(Richard Mark Soley)氏は、UML Forum/Tokyo 2005の基調講演で「モデル駆動型アーキテクチャは革命なのか? そうではない」と、切り出した。

米OMG 会長兼CEO リチャード・ソーリー氏

 モデル駆動型アーキテクチャのコンセプトは、モデルによって抽象的に記述した内容をコードに変換することによって、現実に動作するソフトウェアを実現することだ。「これはすでにわれわれがコンパイラで行っていることだ」とソーリー氏は言う。つまり、50年前に最初の高級言語であるFortranが登場したとき、それはアセンブリ言語に対して抽象的な上位レイヤとして登場したのと同じことなのだという。だから「モデル駆動は革命などではない、現状からの進化なのだ」(ソーリー氏)。

 「調査によると、ソフトウェアにかかるコストのうち、開発にかかるのは全体の10%に過ぎない。残りの90%は、メンテナンスと統合にかかっている」(ソーリー氏)。そのため、部品としてのコードをいきなり書き始めるのではなく、全体の設計書であるモデルの設計からはじめるべきで、それがOMGがモデル駆動型アーキテクチャを推進する理由だ。

 開発者の役割も変化していくだろうとソーリー氏は予想する。コードを書くよりも、要求分析、モデルの構築、アーキテクチャの設計、テスト、統合などにフォーカスが当たっていく。

 EclipseやRational Roseなど開発ツールによるモデル言語の対応も増え、モデル駆動型アーキテクチャは順調に普及に向けて広がっているといっていいだろう。しかし、すべてが変わってしまうわけではなく「20年後も、きっとアセンブラのコードを書いている人たちはいる」と、既存の技術と共存していくとソーリー氏はみている。

(@IT 新野淳一)

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