サンと東大、基礎技術研究で連携、製品化も視野

2005/6/21

 サン・マイクロシステムズと東京大学は6月20日、組織的な共同研究に関する協定書を締結した。サン米国本社との連携も視野に入れる。東京大学が外資系IT企業米国本社と連携した共同研究の協定書を締結するのは今回が初めて。

サン・マイクロシステムズ 代表取締役社長 ダン・ミラー氏

 東京大学では2004年4月から産官学連携のための共同研究計画作成プログラム「Proprius21」を展開している。従来の産学共同研究では、スコープの合意がないまま研究が開始され、結果的に研究テーマの矮小化や実用化の道がないなどの失敗が繰り返されていたが、「Proprius21」では共同研究を始める前の入念な計画立案フェイズに時間をかけることで、成果の明確化、成果へのコミットといった投資対効果の最大化を狙う。

 サンと東京大学の共同研究においては、共同研究員として東京大学に在籍するポスドク(ポストドクター:博士課程を修了し、常勤雇用される前の若手研究者)をアサインし、「Proprius21」のフレームワークを活用して、両者が合意するテーマと研究パートナーの探索や絞り込みを行う。そのうえで、成果が見える共同研究計画を立案し、共同研究を開始、終了後は新技術の製品化なども計画している。

 研究計画の立案に1年をかけ、両者で合意がとれれば、2006年6月ごろから研究を開始する。アサインするポスドクは当初1名を予定。具体的な研究内容は決まっていないが、現在検討しているものとしては、次世代デジタル・キャンパスの研究・開発、次世代eラーニング環境の研究・開発、次世代コンピュータ・サイエンス環境の研究・開発などが候補として挙がっている。

 サン・マイクロシステムズ エデュケーション・リサーチ営業本部 執行役員 本部長 中西直之氏によると「年間数億円の予算を投入する」という。サンは年間2000億円強(ワールドワイドで)の研究・開発費を計上しており、今回の試みも同社の研究・開発費の中から捻出(ねんしゅつ)する。

 なお、共同研究成果を製品化するうえで生じる知的財産権の所属については、「東京大学の教員が研究に関与した場合については、東京大学の規定に沿って対処する」(東京大学 理事・副学長・産学連携本部長 石川正俊氏)。東京大学としては、米国企業との連携により、研究成果のグローバル展開を図り、同大学の世界的な権威の向上を目指したい考え。

(@IT 谷古宇浩司)

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