SOA構築の共通言語、SAPがマスターデータ統合製品を投入

2005/7/1

 SAPジャパンは6月30日、SAPのアプリケーションやほかのシステムのマスターデータを集約し、管理性を高める新製品「SAP NetWeaver MDM(Master Data Management)」の出荷を開始した。SAPはSOA基盤「SAP NetWeaver」の拡充を急いでおり、SOAを実現するためにはマスターデータの集約が重要と判断。SAPジャパンのソリューション統括本部 ソリューションマーケティング本部 NetWeaver ディレクターの菅沼隆太氏は、「マスターデータはシステムとシステムの共通言語になる」と述べた。価格は2500万円から。

SAPジャパンのソリューション統括本部 ソリューションマーケティング本部 NetWeaver ディレクターの菅沼隆太氏(左)と同本部 MDM ソリューションオーナー 関口恭子氏

 SAP NetWeaver MDMは、NetWeaverに接続されたSAPアプリケーション、他社のシステムから顧客データや製品データ、サプライヤデータなどフォーマットが異なるマスターデータを吸い上げる。マスターデータの統合と重複するデータの削除が主な機能。同じ顧客で別々のマスターデータが作成されている場合は、重複するデータを削除、または連携するデータの同期などを行う。マスターデータ量が少なくなり、運用管理などのTCOを削減できるとSAPはアピールしている。情報を統合することで業務効率が向上し、ビジネスインテリジェンスなどにも利用しやすくなるという。

 複数システムのマスターデータ統合は、業務アプリケーションの1つの潮流だ。オラクルはマスターデータの情報ハブとして、顧客データを統合する「Customer Data Hub」を出荷済。製品情報を統合する「Oracle Product Information Management Data Hub」や、企業グループの会計情報を統合する「Oracle Financial Consolidation Hub」も2005年秋に出荷する。菅沼氏は「SAP以外のほかのベンダは単品のマスターデータを統合するだけ。SAP NetWeaver MDMは包括的なのが特徴。会社コードや勘定コードなどさまざまなマスターデータをエンド・ツー・エンドでカバーできる」と述べた。

 SAP NetWeaver MDMはマスターデータを統合し、クレンジングするマスターデータ管理機能のほかに、Webサイトで公開することを前提に製品コンテンツ情報を複数システムから統合する機能、マスターデータから印刷用カタログを作成する機能などがある。また、消費財、小売業向けデータ共有サービスとして、企業間で製品情報の同期と公開を実現する「グローバルデータ同期」の機能がある。SAPジャパンのソリューション統括本部 ソリューションマーケティング本部 MDM ソリューションオーナー 関口恭子氏は、米国でのGEのSAP NetWeaver MDM利用例を紹介し、「カタログ情報作成の生産効率が50%以上向上した」などと説明した。

(@IT 垣内郁栄)

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