オープンソースのデザイン手法導入で顧客を巻き込め

2005/7/6

 Open Source Initiative(OSI)が定める“オープンソースの定義”は「再頒布の自由」や「ソースコード」「派生ソフトウェア」など大きく10項目にわたってオープンソースのオープンソースたる条件を規定している。OSIの会長で、米レッドハットのオープンソース担当副社長 マイケル・ティーマン(Michael Tiemann )氏は「この定義自体がオープンソースのデザインである」という。オープンソースは、非オープンソースとは異なる手法でデザインされているというのがティーマン氏の主張だ。そして、このオープンソース独特のデザイン手法こそが、現在のオープンソース全盛の潮流を作り出した最も強力な原動力だとほのめかす。

米レッドハットのオープンソース担当副社長 マイケル・ティーマン氏

 ワールド・ワイド・ウェブ(WWW)の創設者といわれるティム・バーナーズ・リー氏はWORLD WIDE WEB CONSORTIUM(W3C)のFAQページでこう書いている。「何かを世界標準にし、それと同時にそれを管理しておくことは不可能だ」。ティーマン氏はリー氏のこの発言を引用し、“オープンソースの定義”で規定されるオープンソース構築のためのデザイン手法が、いかに時機を得た手法なのかを強調する。そして、不特定多数の開発者(世界には110万人程度のオープンソース開発者がいるといわれる)が開発に携わるプロジェクトでは、非オープンソースの開発時と比較して「バグはより少なく、修正もより早く」(ティーマン氏)行われるとする。そもそも「わたしも含めて、約90%強のオープンソース開発者は商用ソフトの開発経験がある」のである。

 オープンソース開発のデザイン手法を導入することで「ユーザー駆動型イノベーション」を実現できる、とティーマン氏はいう。つまり、従来、サプライヤが独自に行ってきた「デザイン」や「ビルド」作業などにオープンソースのデザイン手法を導入し、「テスト」作業も含めて、社外(顧客)に(ライセンスの制限付きで)解放してしまうのである。そして、サプライヤはオープンソースの成果をもとに、独自の価値を付与した製品開発を行えばよい。このような手法の導入により、オペレーション費用ごとの収益の向上や開発資金ごとのポートフォリオの拡大、カスタマーリレーションの拡大と深化というメリットが得られるというわけだ。ティーマン氏は「改革は競合からではなく、顧客のニーズから生じる」という。

 非オープンソースのオープンソース化における最大の問題点は、マイナープロジェクトの支援方法だろう。Apache Software Foundationのような巨大コミュニティに参加できれば、優秀で熱心な開発者がプロジェクトに継続的なコミットを行ってくれる可能性は高いが、多くのオープンソース・プロジェクトは、財政的にも人的にも非常に厳しい立場に置かれているのが現状だ。「個々のプロジェクト同士が協力して総合的なコミュニティを作るなど、この点については引き続き考えていかなければならない」とティーマン氏はいう。

(@IT 谷古宇浩司)

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レッドハット

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