日立がサポート子会社2社を統合、再編時代の乗り切り狙う

2005/7/23

 日立製作所は7月22日、100%子会社のサポートサービス企業、日立電子サービスと日立オープンプラットフォームソリューションズ(日立OPSS)を2005年10月1日付で合併させると発表した。存続会社は日立電子サービスで、NEC、富士通の子会社と並ぶ国内最大規模のサポートサービス企業になる。

 日立製作所の執行役常務 情報・通信グループ 副グループ長 篠本学氏はサポートサービス市場について「国内市場規模の横ばいが続き、価格競争が激化」「経営戦略としてのITに対するニーズが増大し、コンサルから運用・保守までのライフサイクルソリューションの要求が増している」などと指摘した。そのうえで、合併について「ハードウェア/ソフトウェアからエンジニアリング、保守までの統合サポートサービス会社を誕生させる」と述べた。

日立電子サービス 取締役社長 百瀬次生氏

 日立電子サービスは1962年設立。従業員は約4200人で国内310カ所の拠点を持つ。2004年度の売上高は1665億円。日立製ハードの保守が主な業務で、ソフトウェアのサポートサービスは「着手したところ」(日立電子サービス 取締役社長 百瀬次生氏)だった。日立OPSSは2002年の設立で、従業員は約300人。国内拠点は10カ所。2004年度の売上高は711億円。マルチベンダ、マルチプラットフォームのソフトウェアのサポートサービスを提供している。OracleやVERITAS、Solaris、Windows、HP-UXなどオープン系ソフトウェアのサポートに強みを持つ。

 2社が統合し10月に生まれる新会社は、日立電子サービスの名称。百瀬氏が引き続き社長を務める。従業員は約4500人になり、売り上げは2005年度に2500億円を見込む。2008年度には3000億円を達成し、「国内No.1になる」(篠本氏)。

 新生 日立電子サービスはハードウェア/ソフトウェアを一体化した保守サービスと、ITインフラの運用管理サービスに力を入れる。日立OPSSのエンジニアが加わることで、日立製ハードだけでなく、マルチベンダ環境のハード、ソフトのサポート対応が向上する。「日立電子サービスはこれまでも日立OPSSと連携してきたが、一体化することで保守だけでなく、エンジニアリング、調達と、顧客に提供するワンストップサービスの幅が広がる」(篠本氏)

 ITサービス企業は再編期を迎えていて、合併や買収が相次いでいる。富士通は2004年に富士通サポートアンドサービス(Fsas)を完全子会社化した。再編が続いている背景には、サービス料金の低価格化の流れがある。百瀬氏は「メインフレームやサーバのサポートサービス料金の単価は年率4〜5%下落している。PCサーバ、クライアントPCは年率10%の下落」と低価格化の現状を明かした。低価格化の中で確実に収益を生み出すには、マルチベンダのハードウェア、ソフトウェアをサポートし、アウトソーシングを含めた運用管理サービスなど、“ワンストップ化”“フルライン化”が欠かせないと日立は判断したようだ。百瀬氏は「(ITインフラ全体を運用管理する)ITマネジメントサービスは、低価格化の流れを上回る成長が期待できる」として、運用管理サービスの拡大を進める考えを示した。

 一方、ユーザー企業にはITインフラが複雑化しすぎて、運用管理の作業が膨大になる悩みがある。「オープン化のし過ぎで別のリスクが生まれている」(百瀬氏)ともいえ、外部の運用管理サービス企業の利用は必須だ。百瀬氏は「保守に使うユーザー企業の予算は減っているが、ITマネジメントサービスで予算を使ってもらえればいい」と語った。合併によるサービスメニューの多角化でITサービス企業の再編を乗り切る考えのようだ。

(@IT 垣内郁栄)

[関連リンク]
日立製作所の発表資料
日立電子サービス
日立オープンプラットフォームソリューションズ

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