日本人はデジタルサービスに健康面で期待しすぎ?
2005/7/26
アクセンチュアは7月25日、米国、英国、仏、独、日本の5カ国の消費者2600人を対象に実施したアンケート「家庭向け統合デジタルサービス」の結果を発表した。アクセンチュア 通信・ハイテク産業本部 統括パートナー 程 近智氏は、「今回の調査では、サービスへの消費者の認知と関心度がeコマース普及直前期の数値を上回ったことから、市場が急拡大する土壌が整いつつある」と分析。家庭向け統合デジタルサービスの普及が近いことを示唆した。
アクセンチュア 通信・ハイテク産業本部 統括パートナー 程 近智氏 |
調査では、約80%の消費者が家庭向けデジタルサービスの購入を阻む要因に「価格」を挙げたほか、約70%の消費者は単一のプロバイダからのサービス提供を希望していることが分かった。そのほかの日本における調査結果には、家庭向け統合デジタルサービスは73%の消費者が認知しており、42%が関心を持っている。これは、eコマースにおける1997年ころの数値認知度65%、関心度26%を超えており、マーケットブレークが近いと予測している。
サービスドメイン別では、欧米の消費者はホームエンターテインメントに関心が高いのに対して、日本ではヘルスケアに関するサービスへの関心が高かった。サービス購入へのハードルには、51%の消費者が「すでに購入した機器の買い替えの必要性」、31%が「機器の設置や設定の煩雑さ」を挙げており、ベンダはこの問題をクリアする必要があるようだ。また、消費者の76%がこれらのサービスを統合して提供している1社と一括して契約したいと回答しており、日本では特にYahoo! BBなどのISPや、NTTなどの固定通信会社、ソニーなどの家電メーカーに対して、約半数のユーザーがこのような役割を期待していることが分かった。
中でも、日本人はヘルスケアに関する関心が極めて高く、欧米人が関心が極めて高い、高いと回答したのが12%、20%なのに対して、日本人はそれぞれ19%、35%と2倍近い結果になった。この点について、アクセンチュア 通信・ハイテク産業本部 戦略グループ パートナー RFID Go To Marketチーム統括 堀田徹哉氏は、「日本におけるヘルスケア分野に対する期待は、健康状態に対する不安感の強さや、健康に関する悩みの大きさと関係があるだろう。ある健康状態の認識の各国比較では、日本は最も平均年齢が高いのにもかかわらず、23カ国中2番目に健康に不安を抱いていた」と分析した。
アクセンチュア 通信・ハイテク産業本部 戦略グループ パートナー RFID Go To Marketチーム統括 堀田徹哉氏 |
そのほか、日本特有の回答には、デジタルサービスの購入要因として欧米の1位が「お金の節約」で56%、2位が「生活を楽にする」で46%であるのに対し、日本では「時間の節約」「お金の節約」「生活を楽にする」が共に48%で1位だったことが挙げられる。この結果について堀田氏は「日本人がいかに忙しく働いているかを表した結果ではないか」と語った。
これらの調査結果を受けて、堀田氏は、「日本では、単一アグリゲータによる融合型のサービスやプラットフォームが強く求められているのに対して、まだサービスがほとんど提供されておらず、模索段階だ。このサービスの登場が今後の家庭内統合デジタルサービスの普及に大きな影響を与えるだろう」と推測。日本では、特に単一ベンダからの提供を望む声が大きいことから、「NTTグループやソフトバンクBBなど、ISPから足回りまでを一括して提供しうるベンダが一歩優位といえるだろう」と分析した。アクセンチュア自体もビジネスチャンスを探り、自身によるサービス提供を視野に入れつつ、課金システムやユーザー認証などバックグラウンドのアウトソーシングサービスも提供していきたいとの意欲を示した。
(@IT 大津心)
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