野村総研が分析、「ライブドア『D-cubic』のハードルは高い」

2005/7/27

 「4万ユーザーを集めないと単年度黒字にならない。不可能ではないが、それなりにハードルは高い」。野村総合研究所の情報・通信コンサルティング二部 副主任コンサルタント 廣戸健一郎氏は7月26日、ライブドアが7月末に試験サービスを開始する無線LANサービス「D-cubic」についてこのような試算を示した。「獲得不可能ではないが、現在の有料公衆無線LANユーザー全体の4割を取る必要があり、容易であるともいえない」が評価だ。

野村総合研究所の情報・通信コンサルティング二部 副主任コンサルタント 廣戸健一郎氏

 ライブドアは10月に本サービスを開始する予定。初期費用1050円、月額525円の低価格と、都内2200カ所のアクセスポイントで山手線圏内の80%をカバーする“面展開”が特徴だ。

 廣戸氏が行った試算の根拠はこうだ。ライブドアが公表している初期投資は7億円。6年償却の場合で年1億1700万円の費用負担となる。また、アクセスポイント1つ当たりの運営費を月5000円とすると、2200カ所のアクセスポイントの年間運営費は1億3200万円。つまり、年間2億4900万円の費用を回収しないと黒字にならないということだ。この額を稼ぐには、4万ユーザー以上が必要になる(月額525円×12カ月×4万ユーザーで2億5200万円)。

 もちろん、サービスを継続して提供するにはアクセスポイント以外のハードウェア、ソフトウェアの運用管理コストや通信費用、人員のコストを考える必要があり、黒字化へのハードルは高くなる。

 4万ユーザーという数字は容易ではない。公衆無線LANサービスはNTT系など10社程度が参入しているが、「既存の事業者はほとんど成り立っていない。真っ赤ではないか」(廣戸氏)。また、日本にはPHSという無線データ通信の先陣がいて、無線LANサービスの急速な普及が難しい。廣戸氏は、無線LANサービスの潜在的なユーザー数は、PHSのデータ通信加入者数である200万〜250万とした。公衆無線LANサービスのユーザー数は10万を超えたところとみられ、まだまだ伸びしろはある。しかし、廣戸氏は「PHSの面展開と無線LANのスポット展開では利便性が違う」として「各社はそろそろ頭打ちか」とも指摘した。

 公衆無線LANが伸び続けるには、ライブドアが選択したPHS型の面展開か、利用が多いビジネスマンにターゲットを絞ることが重要というのが廣戸氏の考え。面展開ではWiMAXなど新技術を活用することも考えられる。ビジネスマン特化では「ビジネスマンが10分以上滞在する施設への設置が望ましい」として、旅客機内や中長距離の電車内でのサービス提供が有望と説明した。

(@IT 垣内郁栄)

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