MS製品を提案するITコーディネータの本音は

2005/8/20

 マイクロソフトの業務執行役員 ゼネラルビジネス本部 本部長 森上寿生氏は8月19日、同社の中小企業向け戦略の説明会で、中小企業のPC導入率とサーバの導入台数を今後3年間で大幅に増やす同社の目標を明らかにした。森上氏は目標達成のためにITコーディネータとの連携などパートナーシップを最大限利用する方針を強調し、「過去は中小企業に対するIT活用の啓発が中心だったが、今年からは具体的な解決策を訴求していきたい」と述べた。

 同社が目標とするのは、事業所当たりのPC台数を従業員数で割った国内中小企業のPC導入率を現状の28%から今後3年で5ポイントアップさせること。中小企業のPC導入率は米国で60%以上、英国で50%以上といい、「日本は明らかに中小企業のIT化が遅れている」(森上氏)。また、中小企業のサーバ台数も現状の13万台を3年で2倍の26万台にすることを目指す。

マイクロソフトのゼネラルビジネス本部 業務執行役員 本部長 森上寿生氏

 森上氏は「パートナー企業が持つ業務・業種別のソリューションをマイクロソフトのプラットフォーム製品と組み合わせて提案する活動を強化する」と方針を説明。マイクロソフトの中小企業向けサーバ「Windows Small Business Server 2003」(SBS)についても「(売り上げを)ざっくり1.5倍にしたい」とした。

 中小企業ビジネスを伸ばすため、マイクロソフトが重要視しているのが全国に約6000人いるITコーディネータとの連携だ。特にITコーディネータ資格を持つ公認会計士、税理士(会計人ITコーディネータ)との組織作りを進めていて、マイクロソフトは2003年に設立された会計人ITコーディネータの組織「全国IT推進研究会」を支援している。

 約6000人のITコーディネータのうち、公認会計士、税理士は約500人。そのうち、105人が全国IT推進研究会に参加している。中小企業の経営者が会計人ITコーディネータに相談し、会計人ITコーディネータがIT活用を提案。地場のパートナーがマイクロソフトと協力して、システムを導入することを想定している。

 全国IT推進研究会は、SBSのソリューションパッケージを研究し、会計人ITコーディネータの事務所に導入したうえで、顧客企業に導入する仕組みを構築する「SBS部会」、会計人ITコーディネータが顧客のために開発したMicrosoft Excel、Accessなどのテンプレートをデータベース化して、会員間で再利用できることを目指す「Officeテンプレート部会」など6つの部会がある。

 全国IT推進研究会の「第2回定時総会資料」によると、SBS部会は第2期にSBSを30の会員事務所に導入することを目標にしていた。しかし、実際に導入できたのは約20件(準備中含む)だった。SBS活用に関する事例や情報の共有についても「至らなかった」としている。ただ、「Microsoft GroupBoard」に対する要望をマイクロソフトにフィードバックするなど、マイクロソフトとの連携では進展があったようだ。

 資料ではSBS導入の課題として「SBSで何ができるのか、どう使えばよいかについて会員への訴求が十分できなかった」「導入による費用対効果が見えにくい」などを挙げた。第3期の対策としては「具体的に会員の事務所の業務で活用できる提案を用意」「現業務に対し不足している機能をアプリケーションとして提供する」「活用例・導入効果をWebサイトで紹介」などを示した。

 森上氏は全国IT推進研究会について「3期目は具体的な活動をより強化したい」と語ったうえで、「地場のITベンダとの連携が3期目になり本格化してきた、中小のIT活用を具現化していく」と述べた。

(@IT 垣内郁栄)

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マイクロソフト
全国IT推進研究会

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