和製XMLデータベースとして再起を図るSonic XIS

2005/8/24

 XMLネイティブ・データベースの第1世代として注目を集めた「eXcelon」(エクセロン)は、その後、EAI事業を手掛けるソニック ソフトウェアから「Sonic XIS」のブランド名で販売されてきたが、日本企業に事業移管され国産XMLデータベースとして生まれ変わることになった。

サイバーテック 代表取締役社長 橋元賢次氏

 Sonic XISの製品事業をソニック ソフトウェアから取得したのは、ソフトウェア受託開発やメールソリューション事業を行うITベンチャー企業のサイバーテック。同社 代表取締役社長 橋元賢次氏は今回の経緯について「当社はこれまでXML関連の受託開発を行ってきており、Sonic XISについても実績がある。Sonic XISの販売権取得により、XMLデータベースを使ったアプリケーション開発に加え、XMLデータベース本体の販売やサポートまでを含めたトータルな事業展開が可能になる」とし、Sonic XISを中心とした事業を新たな収益の柱に据えたい意向を表明した。

 現在同社は未公開企業だが、これを機に外部からの資本注入を受けて事業拡大を図り、2008年の株式公開を目指すという。

 今後のロードマップは、2005年10月にSonic XISに代わる新名称、価格体系などを発表し、2006年2月に新バージョンをリリースする予定。既存のSonic XISユーザーに対するサポートは、2006年1月までは従来どおりソニック ソフトウェアが行い、2006年2月からサイバーテックが引き継ぐ。Sonic XISにコア・エンジンを提供しているオブジェクト指向データベース「ObjectStore」は引き続きソニック ソフトウェアが販売する。

 今回の事業移管には、SOA(サービス指向アーキテクチャ)やESB(Enterprise Service Bus)といった先進テクノロジを活用してEAI事業に注力したい米ソニック ソフトウェアが、XMLデータベース単体での事業展開を収束させる方向性を打ち出したという背景がある。ソニック ソフトウェア 代表取締役 社長 大坂稔氏は、「日本の既存顧客を継続してサポートしてくれる企業を探してきた。最終的にサイバーテックに製品の未来を託す決断をした」と語った。サイバーテックはソニック ソフトウェアから技術供与およびソースコードの提供を受け、今後は単独で製品開発を行っていくという。

 XMLデータベース製品はSonic XIS(eXcelon)や独製Tamino、純国産EsTerra XSS(Yggdrasill)といった第1世代から、より検索性能やスケーラビリティを高めた次世代製品(NeoCore、TX1など)に注目が集まりつつある。ライバル製品に対する優位性について、橋元氏は「Sonic XISはデータベース管理システムとしての完成度に一日の長がある。来年リリースする次期バージョンでは検索・更新性能を50%向上させる」と語り、機能強化を図って新世代XMLデータベースの一角に食い込む意欲を見せた。

(@IT 上島康夫)

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サイバーテックの発表資料
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