【特報】ジャスダックが障害でダウン、「単純ミス」と幹部が説明

2005/8/30

 ジャスダック証券取引所で8月29日午前、システム障害が発生し、すべての銘柄で売買ができなくなった。ジャスダック証券取引所は売買システムと証券会社のシステムを接続するシステムにプログラムミスがあったと同日発表した。記者会見したジャスダック証券取引所の代表取締役専務 菊一護氏は「原因は単純なミス。深刻に受け止めている」と述べた。

ジャスダック証券取引所の代表取締役専務 菊一護氏(左)とジャスダック・システムソリューションの専務取締役 船戸弘氏

 システム子会社、ジャスダック・システムソリューションの専務取締役 船戸弘氏によると、プログラムミスが発生したのはジャスダックの売買システムと、会員の証券会社のホストコンピュータを接続し、専用端末を使って売買する「システム間直結接続」。証券会社が利用できる接続方法にはほかにジャスダック側がAPIを公開し、証券会社側がPCなどで接続する「JASDAQ-API接続」がある。最近はアプリケーションが自由に使え、売買の取引状況などを問い合わせることもできるJASDAQ-API接続を利用する証券会社が増えてきた。そのため、ジャスダックはシステム間直結接続の接続可能数を減らして、JASDAQ-API接続の接続可能数を増やす設計変更を計画し、8月29日にカットオーバーさせた。

 しかし、システム間直結接続の接続可能数を算出する計算プログラムにミスがあり、本来のアクセスを下回る誤った数値が設定されていた。そのためシステム間直結接続の3台のサーバは、証券会社からのアクセスをさばききることができず、同日7時50分の接続開始から断続的にダウンした。3台のサーバに対して3台のバックアップサーバも用意していたが、同じ数値が設定されていたため、ダウンした。11時前後に原因となった誤った数値が判明。先週金曜日の数値に戻すことで復旧し、12時半の後場から取引を再開した。

 「何でこんなことを間違えるのかという単純なミスだったが、断続的にシステムがダウンしたため、最終確認に時間がかかった」(船戸氏)。システム間直結接続の数値は、利用する証券会社数や、取引に応じて増減するデータ量、それぞれの証券会社が保有する回線数などを基に一定の計算式で算出する。

 船戸氏はプログラムミスについて「接続社数や回線数など、ジャスダックが提供した数値には誤りはなかった。業務委託先の日立製作所で計算ミスがあった」と釈明し、日立と協力して原因究明に努めるとした。また、システム間直結接続の設計変更は今年6月からテストを計3回繰り返してきた。委託業者と協力し、本番環境を模したテストなども行ってきたが、「そもそも一番最初の計算が間違っていて、その間違っていた計算に基づき値を設定していた」(船戸氏)。テスト環境自体が誤った数値で構築されていたため、テスト自体はスムーズに行われた。しかし、本番環境に移した29日にダウンした。船戸氏は「単純なミスで、検証環境が誤っていた可能性が非常に高い」と述べた。

 ジャスダックによると、119社の会員証券会社のうち、システム間直結接続を使っているのは約4割。多くの証券会社は利便性が高いJASDAQ-API接続と併用して使っている。ジャスダックも将来的にはJASDAQ-API接続に全会員を移行させる方針。今回の障害はその構成変更の作業でミスが発生した。ジャスダックがシステム障害を起こすのは今年に入って3回目。ジャスダックは外部企業に前2回の障害のシステム監査を依頼していて、9月末に報告を受けることになっている。ジャスダックは今回の障害は開発・運用管理体制や業務委託先との協力体制などに問題があると見ていて、船戸氏は「人為的なミスの可能性が高い」と述べた。

 金融庁は同日、ジャスダックに対して証券取引法に基づく報告命令を出した。原因や再発防止策を盛り込んだ報告書の提出を求める。

(@IT 垣内郁栄)

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ジャスダック証券取引所

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